RUNNET TRAIL コラム
トレラン・レースリポート
- 第5回 世界遺産 五箇山・道宗道トレイルラン大会
開催日: 2018年10月7日(日)
開催地: 富山県(南砺市)
距離:
【ロングコース(約36km)】出走者数: 292人/完走者数: 288人/完走率: 98.6%
【ミドルコース(約16km)】出走者数: 195人/完走者数: 195人/完走率: 100.0%
【ショートコース(約8km)】出走者数: 107人/完走者数: 104人/完走率: 97.2%
【エキスパートコース(約45km)】出走者数: 2人/完走者数: 2人/完走率: 100%
テクニカルな急勾配と原生林トレイルをたっぷり味わえるワンウェイコース
リポート/高瀬 裕行さん
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「世界遺産 五箇山・道宗道トレイルラン大会」は、1995年にユネスコの世界遺産に登録された、合掌造り集落で有名な富山県の「五箇山」と、その周辺の山々の稜線を走るトレイルラン大会。
2014年、第1回大会が開催されると聞いたとき、地元南砺市在住の私は「いつも見ている稜線を走れるなんておもしろそう!」と、ロングコースに出場。運良く優勝することができました。そして今回、来年から新たに加わる「エキスパートコース」(ロングコースを走った後にショートコースを走る総距離44km)を、エキシビジョンとして走るお話をいただき参加しました。
●コースマップ(コース短縮する前の従来のコース)
http://gokayama-doshutrail.com/2018/course/
当日の高瀬さんの装備
ロングコース(36km、累積標高差2,620m)に加えてショートコース(8km、累積標高差630m)を走るため、ジェルは多め(10個ほど)に。フラスクではなくボトル派なので、ベストタイプのザックの前ポケットに挿しやすいパーゴワークスのRUSH7を選択。前日夜から降り続いた雨の影響でコースの途中に蜂の巣があると聞いたので、レインウェアとポイズンリムーバーも携帯。
台風の影響で序盤の約11.5kmがカットされるも、無事開催!
レース前日から当日朝にかけて、台風25号進路の強風域と予報されていたこの地域。開催中止も危ぶまれましたが、安全面が配慮されたうえで無事開催の運びになりました。
ロングコースは、世界遺産の菅沼合掌造り集落を通るロードと、序盤にして最大の難所・小倉山の約11.5kmをカットし、本来のコースの第1関門予定であった「平(たいら)スキー場」をスタートに変更することが大会2日前に告知されていました。距離としては、ロングコースは約36km→24.5km、エキスパートコースは約44km→32.5kmに。
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序盤は原生林を走る気持ちいいトレイル
他種目に先駆けてエキスパートコース出場の2人がスタート! 選手たちからも惜しみないエールが |
スタートは朝8時。コース変更後の最初のピークである高落場(たかおちば)山を通り、最初のエイドとなる縄ヶ池エイドまで進みます。そこそこ急な上りと下りがありますが、ブナ林の原生林の中を気持ちよく走れるトレイル。序盤なので落ち着いて走ります。
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地元特産品が楽しめるエイドでしっかりパワー補給!
約6.5km地点にある「縄ヶ池エイド」に到着。開催地・南砺市の特産品(なめこ汁、里芋の粕汁、富山干し柿入りぜんざい、ぶどう、梨など)が並んでおり、ランナーをもてなしてくれます。普段、エイドでは長居したりたくさん食べてしまうので、後続の選手のためにもあまり立ち寄らないようにしているのですが、ここでは富山干し柿を味わいました)。ここは、天気が良ければ城端から南砺市の平野部を見渡せる絶景ポイント。本来のコースであれば約18.5km地点となり、ほぼコース中間地点ですが、余裕があるなら特産品を味わいつつ、景色も堪能したいところです。
給食には温かな汁ものからフルーツまで特産品が並ぶ |
そこから「竜の背中」という急傾斜の難所を越えれば、ところどころ急な下りはあるものの、気持ちよく飛ばせるトレイルが続きます。細かいアップダウンを挟みながら、最後のエイドとなる「覗口(のぞくと)峠エイド」へ(約16.2km地点。本来のコースなら約27.2km地点)。ここの直前はかなり急な下りなので、エイド手前だからと気を抜かないよう要注意です。また、このエイドまでは走れる長い区間になるので、縄ヶ池エイドの段階でしっかり補給しておくことをおすすめします。
縄ヶ池エイドと覗口峠エイドの間隔は約9.5km。十分な補給が肝心 |
急勾配の連続をひたすらクリアし、目の前に開ける絶景!
急坂トレイルを無心で駆け下りる |
ここからはミドルコースと合流。まだまだ細かなアップダウンと林道を繰り返しながら、最後のピーク、八乙女山へ。この最大の粘りどころを越えれば、木の階段とウォータースライダーのようなトレイルを下ります。ここは今回のように雨が降ればドロドロで最大のスリップ箇所になりますが、逆にそれを楽しんでしまう人が多かったようです。
このトレイル区間を終えると、スキー場跡地の閑乗寺(かんじょうじ)公園へ。ここは終盤で疲れきっていますが、砺波平野の散居村を見渡せる、コース中最大の絶景ポイント。景色を楽しみながらゲレンデを駆け下り、ゴールのある井波(いなみ)の街中へ向かって近づいていきます。
この絶景パノラマ! クタクタの脚で思い切り駆け下りる |
トレイルも終わり、もう上らないと思いきや・・・ラスト、ゴール会場の瑞泉寺に続く石畳のゆるい上り坂がキツく、脚が上がりませんでした。沿道の街の皆さんからたくさんの声援をいただき、心地よく力を振り絞って瑞泉寺の門へ飛び込みました。ここは歴史も古く趣のある建物で、とても癒されます。
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ちなみにワンウェイのロングコースはここまで。エキスパートコースの私はここで折り返し、ショートコース(八乙女山登山口側を回って、八乙女峠からはロングと同じコース)8kmを経て瑞泉寺に再び戻りました(本来のショートコースとミドルコースは井波の街中がスタート会場)。タイムは3時間58分24秒。
ロングの後ショートコースを回ってくると、コースはただでさえ沼地のウォータースライダーのような状況なうえに、ある程度の人が通った後なので荒れていて大変でしたが、それもまた面白かったですね。雨は結局レース終了まで降り続いていましたが、気温も暑くも寒くもなく快適で、ブナ林の中などは晴れているより雨のほうがいい雰囲気に感じました。
■次回参加の方へのアドバイス
●ロングコースは、前半部分にハードなアップダウンを繰り返します。しっかり身体をつくり、ペースを考えて走らないと、後半の、走れる楽しい区間で動けなくなります。最後にショートコースを回ってくるエキスパートコースならなおさら、ジェルや水分の準備もしっかりと行いましょう。
●ミドルコースやショートコースは、コンパクトながらも急なアップダウンや走れる林道などがあり、トレイルの魅力が詰め込まれたコース。序盤の上りで振り返ると、絶景が見られます。短くてもハードですが、制限時間は緩いので、時間をかけても楽しむつもりで来てもらいたいです。トレランビギナーにとって挑戦する価値のあるコースといえるでしょう。
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34歳。富山県南砺市在住。 |
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