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RUNNET TRAIL コラム

ハセツネはこれさえやれば怖くない

  • 第3回:
  • ハセツネ71.5kmはこう走る

自分のペースをキープして走るのが基本

 レースのスタートは午後1時。ほかのトレイルレースに比べれば、かなり遅めの時間だ。前の日から、しっかり炭水化物中心の食事と、長めの睡眠を取ることを心がけてレース当日を迎えよう。
 第1関門の浅間峠までは、周りの人と会話できるくらいのペースを意識して、抑え気味に。結局はその方がゴールまでのトータルタイムで速いはずだ。自分のペースをキープして走るのが基本だが、レースではちょうどペースの合うランナーを見つけてついていくことで、楽に走ることができる。
 フォームは無駄な力を使わない省エネ走法を心がけること。
 上りでの歩幅は小さめになるルートを選んで大股は避ける、場所によっては手の力も使う、スリップによる力のロスを意識するといった具合に、一歩一歩のステップを意識し続けよう。
 休憩のときも、できるだけ座り込まずに立ったまま済ませる。また10分以上の休憩は取らないこと。楽でもなく、追い込みすぎてもいない〝生かさず殺さず〟のバランスが大切だ。
 狭い歩幅で走り続けているとだんだん脚が固まってくるので、1時間に1回程度の割合でストレッチを行うのも効果的だ。特に疲労をしている部分を伸ばして、少しでもリカバリーを図ろう。そして最後まで、だましだましでも動き続けることだ。
 どうしたら力を節約して走れるのか、水や食料の補給のタイミングは、目標時間との差は、など意識することはたくさんあるから長時間のレースでも退屈しているヒマはない。集中力を保ってフィニッシュまで走り切ろう。

第1関門の浅間峠は参加者の友人、知人の応援スポットでもある

第1関門の浅間峠は参加者の友人、知人の応援スポットでもある

受付

 受付でナンバーカードなど一式を受け取る。受付会場ではショップのブースも出展しているので、忘れ物などがあれば購入も可能。体育館が選手控え室となっているので、着替えを行う。荷物もここに預けておく。

スタート

 スタートは、10時間以内・12時間以内など自己申告のタイム順に並ぶ方式。ここで実力よりもかなり前に並ぶ選手もいるが、結局は自分のペースを乱すし、渋滞を引き起こす原因にもなるので自重したいところ。舗装道路を1.5kmほど走った後、山道に入る。

コースの表示

 コースの表示は各分岐点と400mごとに標識が付けられていて分かりやすい。日没後には標識に付けられた赤い点滅灯が道標となる。それでも疲労してくると標識を見落としてコースを外れてしまう人もいる。400m進んで、コース案内の標識がなければ引き返すこと。

関門

 予備関門を含めて関門は4つ設定されていて、各関門の制限時間に間に合わなければ失格となる。第1~第3の各関門ではチップによるタイム計測も行われる。
予備関門…入山峠(7km地点)⇒3時間、醍醐丸(15.3km)⇒6時間
第1関門…浅間峠(22.6km地点)⇒9時間
第2関門…月夜見山第2駐車場(42km地点)⇒15時間
※給水所を併設し、水またはスポーツドリンク2Lを補給できる。
第3関門…御岳山(58km地点)⇒21時間

第三関門を過ぎてすぐの日の出山山頂。ここで朝日を見てから、最後の長い下りに挑むランナーも多い。

第三関門を過ぎてすぐの日の出山山頂。ここで朝日を見てから、最後の長い下りに挑むランナーも多い。

安全の確保

 レース中に事故のあった場合には冷静な対応が求められる。5kmごとのポイントには大会役員や救助隊が待機しているので、連絡をとること。携帯電話が使える場合には、大会本部に連絡を入れて救援を求めることも可能だ。
 また安全対策講習を受講したランナーが「選手マーシャル」としてレースに参加。バックパックに目印を付けて走る予定になっている。
 いずれにしろ周囲で事故のあったときには、正しい知識や技術がない場合には、無理をせず助けを求めることが大切だ。

リタイア

 「制限時間内に完走する自信のある人」が参加資格だが、やむを得ずリタイアする場合には、コース上の役員に申告してレースを離脱する。比較的下山しやすい場所にリタイアポイントが設定されているが、疲労している身体では下山に1時間くらいかかる場所もあるので注意。大会会場までは、車で送ってもらえるが、発車まで1時間程度待つこともあるので、防寒などの対策も必要だ。

フィニッシュ

 五日市会館前がフィニッシュ会場となる。会場でしばらく待つうちに、完走賞が用意され、フィニッシャーTシャツとともに授与される。
 思い切り歓声を上げたいところだが、周囲は住宅街。とくに夜間は騒音への配慮も忘れずに。

憧れは終電帰り!? 寝袋などの用意も

 深夜にゴールした場合、電車で帰るとなると翌朝5時過ぎの始発を待つことになる。だが、冷たい体育館の床にそのまま寝るのはきついので、寝袋などを用意しておきたい。終電前にフィニッシュし、その日のうちに帰ることもできないわけではないが、そのためには10時間前後で帰って来なければならず、帰れる選手はごく一握りだ。

※『1冊まるごとトレイルラン vol.2』(2008年8月21日)掲載のものをそのまま転載しています。
 写真/松岡幸一、小野口健太

田中 正人

指導/田中 正人(たなか・まさと)


1967年生まれ。第1回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の優勝者。その後プロアドベンチャーレースチーム「EAST WIND」を率い、世界各地のアドベンチャーレースで活躍。ハセツネCUP安全走行講習会をはじめ、各種のトレイルランセミナーを実施している。
http://www.east-wind.jp/
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