トレイルランニング専門・RUNNET TRAIL

　群馬県北部に位置する標高2158mの「武尊山」は「ほたか山」と読むのですが、北アルプスの穂高岳と間違えられるので、一般的に「上州武尊山」と呼ばれています。ここを舞台に、毎年9月の最後の日曜日に「山田昇記念杯登山競争」（距離は14.7km。男子が10kg、女子5kgの負荷を背負う）が開催されています。実は、私が初めて出場した山岳レースは、この山田昇記念杯です。確か鏑木毅さんもそうだったと思います。鏑木さんは、この大会で山の中を走る素晴らしさを感じられたそうですが、トレイルどころか、走ることさえ初心者だった私は、何かを感じる余裕もありませんでした（笑）。
　月日は流れ、縁あってその地元である川場村の人と結婚し、現在は武尊山がホームグランドになっています。ここでは山田昇記念杯のゴール地点である「武尊高原川場キャンプ場」をスタートして、武尊山までの往復コース（高手新道）をご紹介します。

　川場キャンプ場は、関越自動車道の沼田インターを降り、川場村方向へ川場スキー場の看板を目印にして進みます。このスキー場の第4駐車場に武尊高原川場キャンプ場入口があります。夏場（7、8月）はキャンプ場が営業しているので、車でキャンプ場まで入ることができますが、それ以外はゲートで車を降りて、600mほどの急登の舗装路を歩いてキャンプ場に到着。ここから登山道の始まりです。

　最初の小さな山頂、高手山には神様が祀られているので、いつもここで無事を祈願します。そこからしばらくは、右手に川場スキー場の建物を見ながら走ります。樹林帯の途中、所々で川場スキー場のゲレンデ脇を通過します。この付近で、去年と今年、初夏に小熊に遭遇しています。なので、このコースを走るときには、必ず熊鈴（熊よけ用の鈴で登山用品店などで販売）を装着してください。特に、ここでは鈴を大げさに鳴らしてみたり、歌を歌ったりして通過します。熊との遭遇はビクビクですが、本来非常に臆病な動物なので、あらかじめ音を鳴らしてこちらの存在をアピールすれば、遠ざかってくれます。

　急登の壊れかけている木段を数回上ると西峰（1870m）に到着します。ここの景色は素晴らしい！　ここからは、剣が峰山を目指しますが、西峰から見る剣が峰山はとても印象的(掲載の山の写真がそう)です。気持ちよく走れる鞍部を過ぎると一気に急登。気を抜くと滑ってしまいそうです。そこを上がれば、剣が峰山（2020m）。ここからは武尊山を目指します。武尊山までのトレイルが見える景色は最高で、ワクワクしてきます。何度かピークを越える場所は急登となりますが、快適に走れる所も多くあります。

　武尊山への最後の上りも急登ですが、山頂（2158m）にたどり着くと、360度の展望が開けます。天気次第で、富士山も見えます。北アルプスや中央アルプス、そして後ろを振り返れば、至仏山や燧ケ岳といった尾瀬国立公園に属する山々も見え、とっても景色がよく、のんびりすることができます。ちなみに、山頂から前武尊方面へ少し進んだところに、「日本武尊」の像が祀られています。そちらへ足を運ぶのもお勧めです。

　ここまでくれば、あとはもと来た道を戻るだけ。往復で合計15.2kmになります。復路の西峰までは、何度かピークがあるので歩きが入りますが、西峰からキャンプ場までは走れます。武尊山へ登るルートはいくつかありますが、ご紹介した高手新道のコースは、あまり人が入らないので思う存分走れるコースです。私はこのコースを約4時間弱で走っています。もっと長い距離を走りたいときは、道の駅「田園プラザ川場」に車を置いて、スタート＆ゴールにし、山田昇杯のコースをつないで1周して戻るコース（約35km）もいいでしょう。