リレーエッセー 達人たちのトレランコース
毎月トレイルの達人たちがリレーで、独自のトレーニング法や、練習中のエピソードをまじえ、大好きなトレーニングコース(トレイル)を紹介してくれるコーナーです。
柳下大さん

「青梅丘陵8kmコース」

延ばせば雲取山までも続く、基本技術習得に最適なコース

今月のナビゲーター: 柳下大/トレイルランナー、オリエンティア

青梅丘陵8kmコース

 関東平野の西に向かうとまずは丘陵地帯があって、徐々に本格的な山岳地帯となっていく。今回紹介する青梅丘陵は、そんな丘陵地帯の一つであり、私にとっては最も身近にあるトレイルの1つである。
奥多摩の山にも奥武蔵の山にも以前から慣れ親しんでいたが、前衛であるこのトレイルにはなぜかなかなか足を踏み入れる機会がなかった。どちらかといえばもっと奥にある山、遠くにある山に目が行き、あまりに低山であるため、注目していなかったのかもしれない。

 このトレイルに初めて訪れたのは2004年春のことで、3年間の名古屋への転勤から戻ってきた時に、青梅丘陵高水山岳マラソンに参加するためであった。
いざ踏み込んでみると、景色がよいことに驚いた。青梅丘陵は南側が明るく開けており、青梅の町と多摩川の望むことができる。それは見慣れた風景であるのに見知らぬ土地に来たような新鮮さがあった。また、青梅丘陵は日当たりよく雑木林が多く、初めて訪れた時がちょうど春だったせいか、このコースには新緑のさわやかなイメージを持つことになった。

 もう一つ忘れられないのが、それから一年後の東京トレイル100というレースだ。このレースでもこの青梅丘陵がスタート地点になった。経験したことのないようなロングコースで、どんな結果になるのか、大きな期待と不安を胸にスタートしたとても印象深いレースだった。

 その後、私にとっては定番コースとなり、トレーニングのために季節を問わず訪れている。私がよくやるのは榎峠往復だ。いつもタイムトライアル的に追い込んで走るので、コースに対してのさわやかなイメージとは裏腹に、最近ではやや修行の場と化している。
自分にとってはそんな定番かつ思い出深いトレイルであるが、入門としてもお勧めできるトレイルだと思う。まず、交通の便がよいし、序盤は歩行者専用の幅広い林道で安心である。林道区間を過ぎれば細かな起伏が多いコースで、スピードをあげれば体力的負荷をあげることもできるし、上り、下りがテクニカルで、トレイルランの基本技術の習得、体力の確認にはもってこいである。榎峠、あるいは高水山まで往復してもよいし、ワンウェイでもう少し先までいってもよいだろう。

 実は東京都の最高峰の雲取山までは尾根続きであり、一気に雲取山まで走破するトレイルランナーも少なくない。また、丘陵周辺には枝トレイルもいっぱいあるので、少々アレンジしてみても面白かもしれない。

青梅丘陵8kmコース

柳下大さんのトレーニングコースは、LatLongLab「猛レース」で見ることができます。このコースを走ったことのある人は、自分のタイムを登録して、ネット上で柳下さんとバーチャルランを楽しめます。実際に走ってみたら、ぜひ登録してみてください。

地図提供:LatLongLab

柳下大さん柳下大/トレイルランナー、オリエンティア

埼玉県在住。学生の頃からオリエンテーリング競技に取り組む。オリエンテーリングで培ったナビゲーション技術に加え、トレイルランの経験も豊富で、長時間のナビゲーションスポーツである、ロゲインニングでは好成績を収めている。2008年度ロゲイニングシリーズチャンピオン。

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次回のナビゲーター:アドベンチャーレーサーで、トレイルランの経験豊富な、宮内佐季子さんです。柳下大さんからのご指名です。