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RUNNET TRAIL コラム

トレラン・レースリポート

  • 第7回白馬国際トレイルラン

開催日:2017年9月10日(日)
開催地:長野県北安曇郡白馬村
距離:ロング約51km、ミドル約36km、ショート約22km、ファミリー&トライアル約5km

ロング:出走者782人、完走者710人(完走率90.8%)
ミドル:出走者515人、完走者463人(完走率89.9%)
ショート:出走者386人、完走者374人(完走率96.9%)

雄大な北アルプスを望む白馬の大自然が舞台

リポート/月刊ランナーズ編集部

今年で7回目を迎えた白馬国際トレイルランが、従来とは逆回りのコースで開催された。スタート前、明け方には会場となる八方文化会館付近には朝靄が立ち込め、幻想的に。ロングコースのスタートは午前7時。天候も回復して日が差し込み、スタートを待つランナーからは「暑くなるな」という声がちらほら聞かれた。

トレイルを覆う木々の隙間から突如、目の前に広がった北アルプス。急峻な岩肌が織り成す造形美にランナーからは自然と歓声が上がる

トレイルを覆う木々の隙間から突如、目の前に広がった北アルプス。急峻な岩肌が織り成す造形美にランナーからは自然と歓声が上がる

いよいよスタート。会場からトレイルの入り口まで続くロードには、地元の方々、スタートを後に控えた他種目のランナーなどが列を成し、ハイタッチと声援で華やかに、そしてエネルギッシュに51kmの旅の始まりを演出してくれた。

大きな声援に背中を押され、スタート会場から吐き出されるように歩みを進める

朝露が暖かい陽光に照らされてランナーの旅を祝福?!

白馬冬季五輪のスキージャンプ台を横目に進み、その後、北アルプスを背にして平川沿いを進むと、草木の朝露が陽光に照らされて輝いていた。深呼吸をすると緑の濃厚な香りが心地よく、行く先々で待ち受ける絶景、非日常空間に期待が膨らんだ。

林道に突如現れたのは、キュートないたずら地元少年

最初のピーク(約1,000m)から麓へ下り、牧寄林道入り口のエイド付近(約23km)を走っていると、突如、林道の向こうから自転車に乗った地元少年が現れ「お兄さん、この先で熊が出たよ! 僕についておいで」と叫んだ。「熊」のひと言に、一瞬、ピクッと身体が反応したが、先のカーブを右に折れると、椅子の上に大きな熊のぬいぐるみが……。

思わぬ出来事に携帯したスマホを取り出してパチリ。このいたずら少年の笑顔で気分一新、後半戦に向けたエネルギーをチャージすることができた。

散々驚かせておいて、「ちゃっかり成功」のVサイン。憎むに憎めない……
散々驚かせておいて、「ちゃっかり成功」の
Vサイン。憎むに憎めない……


2つのピークが待ち受ける後半がハイライト

逆回りとなった今回のレースは、前半走りやすくなった一方、25km付近から後半にかけて岩岳(1,290m)の上り下り、そして八方尾根(1,236m)への上り返し、2つのピークがハイライトとなる。30kmを過ぎてからの上りはランナーを苦しめ、ひざに手をつき、地面と睨めっこを続けながら上るランナーも多く見られた。

疲労した心身に追い討ち。ガマン、ガマンの後半戦

険しい上りあれば、ピークの絶景と(脚が残っていれば)爽快な下りあり。これ、トレイルランの摂理。どんなに疲れていても、目の前にバ~ンと広がった絶景をひと目見た途端、今までの疲労がまるで夢だったかのように(一瞬だけ……)和らいでいく。

どんなエネルギージェルよりも効果あり?! 疲労を一気に吹き飛ばす、北アルプスの絶景

苦しいときの唯一の楽しみであり、救いとなるのがエイドステーション。地元小学生の手作り感と元気に励まされて、息を吹き返したランナーも多かったはずだ。42.6km地点の咲花エイドでは、「おにぎりあるよ! 被り水あるよ!」という子どもたちの大合唱が響き、八方尾根の最後の上りに備えておにぎりをパクリ、被り水を浴びて気合を入れなおす。

地元の子どもたちによる「おにぎりあるよ! 被り水あるよ!」の大合唱

八方山頂のパノラマエイド(45.6km)を過ぎれば、下りのみ! 「上りはここまで!」という誘導スタッフの声を聞いたときは、残り6kmと分かっていても、もはやゴール同然の喜びが湧いてきた。麓まで続いた砂利道の林道とアスファルトの九十九折りはさすがに脚に堪えたが……。

ロード残り1kmの花道は至福のウイニングロード。地元の方々、既にゴールしたランナーによって人だかりが形成され、まるでトップ選手のような気分を堪能できた。

「白馬はいいよ、また出たくなるよ」と聞いてはいたが、実際に走ってみて納得。白馬の大自然、北アルプスの絶景はもちろんだが、まるで自分が選手のように大会に積極参加して楽しむ地元の方々、種目の垣根を越えた選手の一体感、それらによって生まれる会場周辺の温かな雰囲気と心地よさ。なるほど、リピーターが多いというのも、納得だ。

ゴールゲートまでの花道はスタート同様の人だかりと熱気
ゴールゲートまでの花道はスタート同様の人だかりと熱気