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RUNNET TRAIL コラム

ロードバイク6時間+トレラン2時間のセット練習

佐藤 浩巳 さん
第9回
OSJ志賀野反トレイルレース(2008年)女子優勝

佐藤 浩巳 さん

ラン前のロードバイクで心肺機能を高める

 2008年6月29日、OSJ志賀野反トレイルレースで女子の先頭をきってゴールに飛び込んだ佐藤浩巳さん(当時35歳)。実は、4月に別のレースのコース下見中に左足首を捻挫し、練習ができなかったため、本当は諦めていたという。
 レース当日は、未明からあいにくの豪雨で、当初予定していた40kmコースが、直前に25kmに短縮されたこと、悪天候で寒かったこと、路面がグチャグチャで走りにくかったこと……。これらすべてが味方してくれたという。
「私の場合、悪条件でも、いつもとあまり変わらないスピードで走ることができるので」
 トレイルラン歴は5年。ただしその前に、トライアスロンやアドベンチャーレースで活躍してきた過去がある。その影響か、佐藤さんのトレーニングにはロードバイクが組み込まれている。
 1〜2月は走り込みシーズン。休日はおもに、ロードバイクで3〜4時間乗って、あえて脚をバテさせてから、2〜3時間のランニングを行う。
「バイクとランは必ずセットです。バイクは心肺機能を高めるのに欠かせないんです。最もハードな練習をするときは、朝からロードバイクに5〜6時間乗って、その後、筑波山に移動してトレイルランを2時間なんていうときもあります」

 雨という悪コンディションとなったOSJ志賀野反トレイルレースを制した

雨という悪コンディションとなったOSJ志賀野反トレイルレースを制した

平日は野菜を背負って通勤ランも

 平日の練習は、自宅の取手から職場のある千葉県の野田までの片道16kmの道のりをランかバイクで往復する通勤トレーニングを行っている。特に走り込み月間は、ランを週3回に増やし、月間500km近く走る。通勤ランはジョグペース(キロ5分30秒~6分弱)が基本だが、「寝坊して遅刻しそうになったとき全速力で走ったら、16kmで1時間25分のコースレコードが出ました。逆に帰りにお腹が空いてハンガーノック状態になったことがあって、そのときの1 時間45分がワースト記録(笑)」
 ショッピングモール内に勤め先があるので、スーパーに立ち寄ってから帰ることもしばしば。安売りしていると、ついつい重いジャガイモやタマネギなども買ってしまい、走りながらあまりの重さに後悔することもあるという。
「トレイルレースでは2リットルの水を持って走ることもありますから、いい練習にはなっています」

 2007年にはウルトラトレイル・ド・モンブランに挑戦。惜しくも途中棄権

2007年にはウルトラトレイル・ド・モンブランに挑戦。惜しくも途中棄権

身体のクセを見直し、頭を使って効率的な練習を

 目下の目標レースは、10月のハセツネ(日本山岳耐久レース)。いまだ捻挫の痛みが癒えず、十分な練習時間もとれそうにないので、頭を使って効率よくトレーニングをしたいという。
 まずは、よい練習を積める肉体をつくるため、栄養の勉強を始めた。また、月に2〜3回のペースで東京にある治療院に通い、身体の歪みや骨盤の動きなどを診てもらいながら、ムダの少ないフォームづくりも研究している。
「これまでの練習は、ただ走ればいいと考えて、その距離や時間に満足していたんです。でも、この2〜3年は故障続きで、年齢とともに走るだけではパフォーマンスアップにつながらないことに気づきました」
 トレイルランで強くなるためには、筋力、スピード、持久力の3つのバランスが大切だと実感しているという。この3つのうちのどのトレーニングを行っているのかを、常に意識して、練習をしたいという。

※『1冊まるごとトレイルランvol.2』(2008年8月21日)掲載のものをそのまま転載しています

 ウルトラトレイル・ド・モンブランに出場した際に、海外メディアの取材を受ける

ウルトラトレイル・ド・モンブランに出場した際に、海外メディアの取材を受ける

佐藤 浩巳 さん

佐藤 浩巳(さとう・ひろみ)


1973年生まれ。アルペンスキー、トライアスロン、アドベンチャーレースを経てトレイルランの世界へ。2007年に青梅高水トレイルラン女子1位、OSJハコネ50K女子2位。招待選手としてウルトラトレイル・ド・モンブランにも挑戦。2009年は北京で行われた100kmのトレイルレースで3位に入った。トレランセミナーの講師も務める。
取材・文/秋葉桃子
写真/松岡幸一
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