フルマラソンに効くトレイルラン
  • 第2回:
  • トレイルで鍛えられる4つの能力
    山本正彦先生
大学近くにあるトレイルを走る山本先生

大学近くにあるトレイルを走る山本先生

 トレイルランで鍛えられるフルマラソンの能力はたくさんある。その中でも特に注目したいのが、次に挙げる4つだ。

(1) 心肺機能強化
 心拍数を上げて走ることで、心肺機能は強化される。平地で心拍数を上げるには、スピードを上げて走らなければならないが、きついし、ケガのリスクも高い。1人ではなかなかできない。しかしトレイルの上りでは、歩いていても心拍数が大幅に上がる。心肺機能が高くなれば、同じスピードでもラクに走ることができる。
(2) フォーム改善
 平地ばかりを走っていると同じ筋肉しか使われなくなり、故障の原因や記録の頭打ちにつながってくる。一方で足場や起伏の変化が激しいトレイルでは、様々な動きが必要になる。普段は刺激の入っていない細かい筋肉が自然と動員されることでバランス感覚が改善され、疲れにくいフォームになる。
(3) 強い脚作り
 不整地では舗装路よりも足が地面に接地している時間が長い。つまりそれだけ長時間筋肉に刺激を入れることができる。上りでは推進力を生みだすハムストリングスや脚を引き上げる腸腰筋が鍛えられ、下りでは着地時の衝撃を受け止める大腿四頭筋が強化される。これによりフルマラソンの30km以降でも元気よく脚が動き、失速を防ぐことができる。
(4)スタミナの向上
 トレイルでは、ロードよりも長時間のランニングが容易だ。夏場でも涼しい木陰の下でトレーニングでき、路面や景色が大きく変化するので、精神的な飽きもロードより少ない。長時間のランニングにより、身体はより脂肪を積極的に利用できるようになり、体重増加予防に効果的。そして脂肪が使われる分、糖が温存できるため、より長く走り続けられるようになる。フルマラソン終盤のエネルギー切れを防止することができる。

 これらを1度に鍛えられるトレイルランは、総合的な体力を高めることができるトレーニングと言えるだろう。

※2010年5月号別冊付録の内容を転載しています


山本正彦
山本正彦(やまもと・まさひこ)
東京工芸大学助教。専門は運動生理学、コーチ学。走る仲間と立ち上げたランニングクラブ「ランニング・デポ」では、練習会やレースを通して多くのランナーと交流を深めている。忙しい傍ら、時間を見つけ、大学の裏のトレイルコースを走るのが楽しみ。『月刊ランナーズ』にてトレーニング指導でもお馴染み

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