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RUNNET TRAIL コラム

ハセツネはこれさえやれば怖くない

  • 第2回:
  • 本番に生きる試走の仕方

アップダウンや路面の変化が激しく、さらに不規則なトレイルレースは、ロードレースよりも格段に試走の重要性が高いと言える。
特にハセツネは夜間走行区間がある。
1度は必ず試走しておきたいところ。
初めて行く人は、その前に必ずこのコラムを読んでおこう。

実際のコース、特に後半部分を走っておこう

 いっぺんに71.5kmのコースを通して走ってみるのが理想だが、時間的にも、走った後の疲労回復を考えても厳しい。そこで、全コースを2回か3回に分けて試走してみよう。
 もし、何回もコースに足を運ぶことができないならレースの後半部分を走っておくことを勧める。
 レースでは、第1関門までは周りの勢いに引っ張られて何とか走れるが、後半で気持ちが砕けそうになったとき、コースを知っていれば距離が短く感じられるからだ。
 コースの地形を知っていることは、ペース配分だけでなく、精神的にも大きなアドバンテージになる。
 コースを覚える以外にも、試走のときにしておくべきことはたくさんある。関門や山頂などのポイントごとの予想タイムを把握しておくのも一つ。コースを分割して試走するときにも、大体8割くらいの負荷と感じるペースで走ってみたときのタイムがレース本番での目安となる。また、自分が上りと下り、どちらが得意なタイプなのかを把握しておくことも本番でペースを調整するのに役立つ。装備や食料を実際に試してみることも大切だ。シューズはコースに合っているか、ストックは必要かなど、机上で考えているだけでは分からないことをコース上で実験。食料や水の消費量なども実際に走って確かめてみる。また食料は、疲労してくると人によっては身体が受け付けにくいものもあるので、そのあたりは自分で試してみるしかない。
 レース時と違いコース表示はないので、山岳地図やコンパスは必ず携行すること。レインウエアや安全のための装備も必要だ。
 長時間にわたって連続行動する経験をしておくことも役立つ。ロードで歩くだけでもいいから、できるだけ本番に近い時間、行動し続ける練習もしてみよう。長時間行動し続けた時に自分の身体がどうなるのかを知っておくのが目的だ。あらゆる面で「未知を減らすこと」が試走の役割だ。
 また、地図を見たりしながら試走したコースを思い描く「シャドー・ランニング」をしてみよう。コースのイメージをしっかりと頭に刻み込んでおく。

日の出山からのラスト12kmは下り坂。タイムは速くなるが脚にはきつい。こういったことも、1度コースを走っておくだけで違う

日の出山からのラスト12kmは下り坂。タイムは速くなるが脚にはきつい。こういったことも、1度コースを走っておくだけで違う

マップ

3回に分けて全コースを試走

(1)武蔵五日市駅~浅間峠(約25km)

 武蔵五日市駅(コインロッカーあり)から走り出し、レースコースへ。第1関門となる浅間峠までは、上り基調ながら細かなアップダウンが連続する。浅間峠からは2kmほどの山道を下って、「上川乗」からバスで武蔵五日市駅に戻る。

(2)浅間峠~都民の森(約18km)

 「上川乗」までバスを利用し、浅間峠へ。比較的上りのゆるやかな笹尾根が続くが、西原峠からはコース中最も標高の高い三頭山(1527m)に向かったキツい上り。山頂からは都民の森の中を蛸口峠まで進む。蛸口峠からは「都民の森」バス停まで下り、武蔵五日市駅に戻る。

(3)都民の森~武蔵五日市駅(約36km)

 「都民の森」バス停から蛸口峠へ上がり、レースコースへ。第2関門の月夜見山第2駐車場を経て、後半の核心部、御前山、大岳の上りへ。ここからは日の出山頂への上り以外下り基調。そのまま武蔵五日市駅へ。

※距離はレースコースへのアプローチを含む
※バスは本数が少ないので事前に下調べを

エスケープルートも確認

 走り始めたものの体調が思わしくない、天候が思いのほか荒れてきたということもよくある。そんなときには行程を短縮して早めに下山しよう。エスケープルートもチェックしておこう。

A 醍醐丸から和田峠を経て、「陣馬高原下」バス停へ。
約3.5km

B 丸山から「笛吹入口」バス停へ。
約3km

C 西原峠から「仲の平」バス停へ。
約3km

D 小河内峠から「藤倉」バス停へ。
約4km

E 大ダワから鋸山林道で奥多摩駅へ。
約6.5km

F 御岳山からケーブルカーで「滝本」バス停へ

G 日の出山から「つるつる温泉」バス停へ
約5km

※『1冊まるごとトレイルラン vol.2』(2008年8月21日)掲載のものをそのまま転載しています。

田中 正人

指導/田中 正人(たなか・まさと)


1967年生まれ。第1回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の優勝者。その後プロアドベンチャーレースチーム「EAST WIND」を率い、世界各地のアドベンチャーレースで活躍。ハセツネCUP安全走行講習会をはじめ、各種のトレイルランセミナーを実施している。
http://www.east-wind.jp/
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