ハセツネはこれさえやれば怖くない

  • 第3回:
  • ハセツネ71.5kmはこう走る


第三関門を過ぎてすぐの日の出山山頂。ここで朝日を見てから、最後の長い下りに挑むランナーも多い。
受付
 受付でナンバーカードなど一式を受け取る。受付会場ではショップのブースも出展しているので、忘れ物などがあれば購入も可能。体育館が選手控え室となっているので、着替えを行う。荷物もここに預けておく。

スタート
 スタートは、10時間以内・12時間以内など自己申告のタイム順に並ぶ方式。ここで実力よりもかなり前に並ぶ選手もいるが、結局は自分のペースを乱すし、渋滞を引き起こす原因にもなるので自重したいところ。舗装道路を1.5kmほど走った後、山道に入る。

コースの表示
 コースの表示は各分岐点と400mごとに標識が付けられていて分かりやすい。日没後には標識に付けられた赤い点滅灯が道標となる。それでも疲労してくると標識を見落としてコースを外れてしまう人もいる。400m進んで、コース案内の標識がなければ引き返すこと。

関門
 予備関門を含めて関門は4つ設定されていて、各関門の制限時間に間に合わなければ失格となる。第1~第3の各関門ではチップによるタイム計測も行われる。
予備関門…入山峠(7km地点)⇒3時間、醍醐丸(15.3km)⇒6時間
第1関門…浅間峠(22.6km地点)⇒9時間
第2関門…月夜見山第2駐車場(42km地点)⇒15時間
※給水所を併設し、水またはスポーツドリンク2Lを補給できる。
第3関門…御岳山(58km地点)⇒21時間

安全の確保
 レース中に事故のあった場合には冷静な対応が求められる。5kmごとのポイントには大会役員や救助隊が待機しているので、連絡をとること。携帯電話が使える場合には、大会本部に連絡を入れて救援を求めることも可能だ。
 また安全対策講習を受講したランナーが「選手マーシャル」としてレースに参加。バックパックに目印を付けて走る予定になっている。
 いずれにしろ周囲で事故のあったときには、正しい知識や技術がない場合には、無理をせず助けを求めることが大切だ。

リタイア
 「制限時間内に完走する自信のある人」が参加資格だが、やむを得ずリタイアする場合には、コース上の役員に申告してレースを離脱する。比較的下山しやすい場所にリタイアポイントが設定されているが、疲労している身体では下山に1時間くらいかかる場所もあるので注意。大会会場までは、車で送ってもらえるが、発車まで1時間程度待つこともあるので、防寒などの対策も必要だ。

フィニッシュ
 五日市会館前がフィニッシュ会場となる。会場でしばらく待つうちに、完走賞が用意され、フィニッシャーTシャツとともに授与される。
 思い切り歓声を上げたいところだが、周囲は住宅街。とくに夜間は騒音への配慮も忘れずに。

憧れは終電帰り!?
寝袋などの用意も

 深夜にゴールした場合、電車で帰るとなると翌朝5時過ぎの始発を待つことになる。だが、冷たい体育館の床にそのまま寝るのはきついので、寝袋などを用意しておきたい。終電前にフィニッシュし、その日のうちに帰ることもできないわけではないが、そのためには10時間前後で帰って来なければならず、帰れる選手はごく一握りだ。

※『1冊まるごとトレイルラン vol.2』(2008年8月21日)掲載のものをそのまま転載しています。
 写真/松岡幸一、小野口健太

ハセツネで着たいウエア

ハセツネ対策で忘れてはいけないのが、気温の変化に対応できるウエアリングだ。スタートは10月上旬のお昼。年によっては汗ばむ陽気になることもある。しかしそれでも夜の山道はかなり気温が下がる。動き続けている時ならいざ知らず、止まって休んだり、スピードが落ちた時には防寒着が必要となる。

軽くて持ち運びも簡単
モンベル EXライトウインドジャケット 7800円
65gと軽量で、小さく畳めるので持ち運びに便利。暑いスタート直後はバックパックなどに入れて持っていき、夜になって冷えてきたら取り出して簡単に羽織ることができる。安全管理の意味でも持っていきたいギアだ。

モンベル EXライトウインドジャケット

夜の冷え込みや雨天にも対応
ファイントラック フラッドラッシュスキンメッシュノースリーブ 3675円
汗がウエアの外へ通過しやすく、肌面に戻りにくい「フラッドラッシュスキンメッシュ」という素材を採用。昼間にかいた汗が夜の山道で冷やされたことによる体温低下を防ぐ。吸汗速乾素材のTシャツの下に着ておきたい。雨天のレースになった場合も、肌が濡れるのを防いでくれる。

ファイントラック フラッドラッシュスキンメッシュノースリーブ

トレイルランナーは手も守れ!
マウンテンハードウエア ヘビーウエイトパワーストレッチグローブ 4095円
ハセツネのコース中には手をついて這い上がるような場所もある。その際に手を傷つけないようにグローブは用意しておきたい。耐久性、防寒性、伸縮性に優れた素材が使用されている。

マウンテンハードウエア ヘビーウエイトパワーストレッチグローブ

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プロフィール

指導/田中正人
(たなか・まさと)

田中正人

1967年生まれ。第1回日本山岳耐久レース(ハセツネ)の優勝者。その後プロアドベンチャーレースチーム「EAST WIND」を率い、世界各地のアドベンチャーレースで活躍。ハセツネCUP安全走行講習会をはじめ、各種のトレイルランセミナーを実施している。
http://www.east-wind.jp/

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