富士登山競走必勝テク
  • 第2回:
  • 1回の試走で本番の走りが変わる!
「試走していればもう山頂に着いていたかも……」なんて本番で思わないように準備したい

「試走していればもう山頂に着いていたかも……」なんて本番で思わないように準備したい

 7月1日(木)、富士山が山開きとなり、山頂までの登山が可能になった。富士登山競走に出るランナーたちにとっては、この日から本番までの間が、山頂までの試走ができる唯一の期間。そしてこの特殊なレースにおいて、試走を行ったか否かの影響は、他のレース以上に大きい。東京工芸大学助教の山本正彦先生に、試走の効果を解説してもらった。

空気をたくさん吸える身体になる!

 試走の目的はもちろん「コースを知ること」にあるが、富士登山競走のような特殊なレースの場合、コース状況だけではなく、気温の変化や高所での自分の身体がどうなるかなども含めて環境を知ることができる点が大きい。コースを確認しながら、どんな体力が必要かと身をもって知ることができるのも試走のメリットだ。また、精神的な効果も見逃せない。知らない場所へ行く時に目的地まで遠く感じた経験のある人も多いだろう。
 ストレスホルモンは身体の動きを制限することも分かっているため、事前にコースを知っておくことは重要と言える。
 さらに現地練習の効果は身体にもしっかり現れる。下の【表1】を見てみると、試走を重ねるごとに心拍数は高くなり、短い時間で登頂できていることが分かるだろう。ここで注目したいのは試走を行った後で換気量がアップしている点。
 換気量とは、簡単に言ってしまうとどれだけ空気を吸って吐けるかという能力のこと。たくさん空気を身体に取り入れることができるようになったことで、酸素の薄い高所でも心拍数を上げて追い込める身体に変わることができる。そのため、1回でも事前に頂上まで上っておくと効果が期待できる。

試走に行けない人は「階段LSD」で鍛える!

 現地まで行くのは難しいという人も多いはず。近所に山やクロスカントリーコースがあれば、そこを走る手もある。しかし、それも難しい場合は、階段を使ったトレーニングが良いだろう。
 そこでオススメなのが、「階段LSD」。文字通り、階段の上り下りを繰り返す練習だ。1段抜かしで上がったり、2段抜かしで上がったりと変化をつけながら1時間前後は行いたいところ。精神的にも肉体的にも厳しいトレーニングだが、効果は確実。ぜひ、取り組んでみよう。

試走シミュレーション

9:00 河口湖口5合目到着
完走を目指すランナーの場合でも5合目を通過するのは9時半前後。時間を合わせることで気候の変化などが実感しやすい。
(五合目までのアクセス)
・車……東名高速御殿場IC、もしくは中央高速河口湖ICから国道138号線を経て富士スバルラインを利用
・バス……新宿から富士急行高速バスで約2時間半。もしくは河口湖駅から富士登山バス乗車。

9:15 スタート
5合目駐車場のレストハウス「雲上閣」には、コインロッカーがある。本番のコースと合流するのは6合目付近から。あくまでも試走なので頑張り過ぎてケガをしないように注意すること。コースを外れて上ると落石などを引き起こすこともあるので注意しよう。

12:00 山頂到着
ダラダラと休んでしまうのではなく、エネルギー補給をしたら動き出そう。長い時間動き続けるトレーニングにもなる。

12:15 下山開始
【8合目の分岐は間違えずに吉田口方面へ向かう】
山頂に長くいることは、「高所に馴れる」という効果は期待できるので体力的に余裕があれば、お鉢巡りをしてみるのも良い。1周約3㎞の火口を1周すると約1時間。LSD的な効果も期待できる。しかし、現実的には天候の変化や下山にかかる時間などの問題もあるので慎重に判断しよう。高所に馴れず、頭が痛くなるような場合は、一刻も早く下山するのが、得策。

14:00 5合目到着
【5合目から新宿行きのバスは15時が最終便】
脚筋力をアップさせるためには下りも貴重なトレーニングの機会だが、登山の後ですでに疲労が溜まっていると考えられる。そこで「鍛えよう」と意識すると転倒などによって思わぬケガをする危険性もある。下山は1歩1歩しっかり踏みしめる意識を持つだけで良い。


試走の必携品チェック!
●ウインドブレーカー
●手袋(軍手でもOK)
●お金…山小屋では500mlのペットボトル500円、トイレもチップ制
●補給食・水分…本番で使う予定の補給食はここで試しておこう
●ゴミ袋…防寒着やザックカバー代わりにもなり重宝する
●帽子、日焼け止め

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