本サイトではより多くの方に快適に利用して頂ける様に、アクセシビリティ面を充分に考慮したコンテンツの提供を心がけております。その一環として、閲覧対象コンテンツのすべてにスタイルシートを使用して制作しております。現在閲覧に使用されているブラウザには、当方制作のスタイルシートが適用されておりませんので表示結果が異なりますが、情報そのものをご利用するにあたっては問題はございません。

ニュース・記事

ランナーズonline

「抜糸前でもマラソン優勝」「100kmマラソンで倒れた!?」世界陸上7位・小林香菜選手の知られざるエピソード

2025年10月30日

大学3年時に北緯40°秋田内陸リゾートカップ100キロチャレンジマラソンで優勝した時の小林香菜選手(写真/大会事務局提供)

大学3年時に北緯40°秋田内陸リゾートカップ100キロチャレンジマラソンで優勝した時の小林香菜選手(写真/大会事務局提供)


9月に開催された東京世界陸上の女子マラソンで7位に入賞した小林香菜選手(大塚製薬)は大学時代、「早稲田ホノルルマラソン完走会」というサークルに所属していました。現在発売中のランナーズ12月号では小林選手が出場した大会の事務局や関係者からのメッセージを掲載していますが、ここでは誌面には載せきれなかったエピソードを紹介します。


********


タイムだけではないマラソンの楽しさを実感

小林香菜選手、世界陸上での入賞おめでとうございます。
小林選手が富士山マラソンに初めて参加したのは2021年でした。コロナ禍で多くの大会が中止となる中、富士山マラソンは規模を縮小し、オンラインも併用して開催しました。その中で初マラソンの小林選手は年代別で5位に入賞(3時間27分51秒)。翌年は2時間39分54秒で優勝し、23年は2時間37分33秒の大会新記録で2連覇。富士山マラソンは標高が約900mあり、アップダウンが続く楽ではないコースです。他の大会がある中で毎年富士山マラソンを選び、タイムだけではないマラソンの楽しさを感じていただけたのであれば、事務局としては光栄です。

(富士山マラソン事務局一同)


12月とは思えない暑さでも大会新記録

昨年、防府マラソンでは初めて女子のトップ選手を招待し、小林香菜選手にも参加していただきました。他に持ちタイムの速い選手もいましたが、小林選手は2時間24分59秒の大会新記録で優勝。当日の気温は最高18℃と、12月とは思えないような暑さに見舞われた中で当時の自己ベストを約4分更新しました。しかも、11月には転倒してひざを縫い、抜糸が終わっていなかったそうですが、それを明かさずに最後まで走り抜く姿に感動しました。

世界陸上の当日はテレビで応援していました。世界陸上の入賞、そしてMGC出場権獲得、本当におめでとうございます。本大会の名誉会長である防府市の池田豊市長名で、その日のうちに祝電を打たせていただきました。また防府で力強い走りを見せていただける日を楽しみにしています。

(防府マラソン事務局・兼行翔平さん)


100km優勝の裏で乗り越えたピンチ

小林香菜さん、7位入賞おめでとうございます。2022年に私たちの大会へ参加してから、あっという間にトップレベルにまで駆け上がったことは、運営側、参加者にとっても誇らしく、励みになります。

22年大会は当時の大会新記録(8時間21分47秒)で優勝しましたが、決して順調なレースではなかったと思います。当日、『女子トップが倒れた』との誤情報が入り、急行すると残り2kmで歩く小林さんに追いつきました。水の補給を勧めると『失格になるのでは?』と心配していましたが、私が競技委員長(当時)で公認大会ではないから大丈夫と伝えると、安心して飲んでくれました。その後、ゴールした小林さんの手にはペットボトルが握られたままで、想いが通じた気がしました。

世界陸上のレース当日は「大会コースのキロ表示看板の設置日」と重なり、秋田では地上波での生中継もありませんでした。そこで、大会公式SNSで全国の皆さんに応援を呼びかけ、自分たちは心の中で応援しました。

後でレースの映像を見返すと、私たちの大会でも見せた「決してあきらめない気持ち」で盛り返してきたのかなと感じ入りました。これからも「チャレンジする心」を失わず、悔いの残らない時間をケガなく過ごしてください。そして、引退後はいつでも「秋田100キロ」に帰ってきてください。大歓迎します。

(北緯40°秋田内陸リゾートカップ100キロチャレンジマラソン事務局長・佐藤道徳さん)


30人全員で朝4時に食事

私は香菜さんの1年後輩ですが、普段から一人で競技場に行って練習していることが多く、ストイックさが印象に残っています。サークル活動としては週に2回皇居を走るというゆるい内容だったので、そのギャップがよく話題になっていました。性格はとても明るくて、大会があると「みんなで出よう」とメンバーを集めてくれる、後輩に対しても気取らず優しい先輩でした。

一番思い出に残っているのは、私が大学2年だった2022年に富士山マラソンに出場した時のことです。香菜さんの発案で前日はコースを一部試走して、当日は『朝食は朝4時にしよう』と、宿泊先にも交渉して、30人全員で早起きして朝食をとりました。そして、レースは香菜さんが優勝。それがすごくカッコよかったので印象に残っています。

今回の世界陸上では、私は大会運営スタッフの一員としてパーソナルドリンクの受付と給水所の設営を担当しました。業務中なので応援の声を上げることはできませんでしたが、学生時代から尊敬していた先輩が、日本代表として世界の舞台で戦っている姿を間近で見られたのは感慨深かったです。

香菜さんにはレース後「おめでとうございます。返信不要です」とメッセージを送ったら、「うれしいから返信しちゃうね、ありがとう」と返してくださいました。優しいところは有名になっても変わりません。これからもずっと応援しています。

(早稲田ホノルルマラソン完走会の後輩・岡本唯=当社社員)



※こちらから記事検索ができます。

ランナーズ12月号 10月22日発売!


さぁ、フルマラソン挑戦!
「30kmの壁」を突破する思考法

フルマラソン30km以降の失速を防ぐことは多くのランナーにとって永遠の課題。では、フルマラソンで失速しないランナーは何を考えてどんな行動をとっているのか。その理由を解明すべく、ランナーズ編集部はメールやSNSで「マラソンで失速しないランナー」にアンケートを実施しました。
失速しないランナーの分析に加え、スポーツ心理学研究者による失速対策法や運動生理学者による「失速しやすい条件」を解説。フルマラソンで快走したいランナーは必見です!

短期連載 100日間でサブフォー達成最終回

最終回の今号は「本番レース快走のために残り10日前から我慢すること×9」を解説します。
「直前まで練習を頑張りすぎる」「ドカ食いのカーボローディング」「宿泊先での長湯やサウナ」など、あてはまることはありませんか? サブフォー目標以外のランナーも参考になる内容です。

東京2025世界陸上競技選手権大会
ここが凄いぞ小林香菜選手!

東京2025世界陸上競技選手権大会が9月13日から21日に開催されました。
マラソンで女子の小林香菜選手(大塚製薬)が7位に入賞。小林選手は早稲田大学時代、「早稲田ホノルルマラソン完走会」というサークルに所属していました。サークル出身の元市民ランナーが世界陸上入賞にたどり着いた強さの裏側に迫ります。



本誌購入は年会費7,800円「ランナーズ+メンバーズ」がお勧め!

「ランナーズ+メンバーズ」は毎月最新号が自宅に届く(定期購読)だけでなく、「デジタルで最新号&2011年1月号以降が読み放題」「TATTAサタデーランが年間走り放題」「会員限定動画&コラム閲覧可」のサブスクリプションサービス! 年会費7,800円の超お得なプランです。



※こちらから記事検索ができます。

記事をもっと見る

ランニング初心者集まれ