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RUNNERS ONLINE【超還暦ランナー3時間30分への挑戦】リベンジ編最終回 やれることはやった。そして絶好のマラソン日和。結果はいかに!?
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みなさん、こんにちは! 前々回(弘前白神アップルマラソン)、前回(水戸黄門漫遊マラソン)と、気温が高くて大変! と書き連ねてきましたが、大本命レース「つくばマラソン」当日は絶好のコンディションとなり、いよいよ言い訳ができなくなった岩谷です。
2024年11月24日、スタート時の気温10℃弱、快晴、ほぼ無風。絶好のマラソン日和と表現するにふさわしい条件が整いました。
弘前ではスタート時ですでに18℃、晴れ時々曇り、フィニッシュ時には24℃位まで上昇。水戸ではスタート時19℃、快晴、ハーフ以降は曇天になったものの、フィニッシュ時には約22℃という暑さ! それに比べればもう、天と地ほどの差。この上ない条件のもと「今度こそ3時間30分切り!」と意気込み、私はスタートラインに立っていました。
自信を持って戦略通りに走り始めたが……
レース戦略は、ネガティブスプリット。
1)混雑する最初の5kmはウォームアップのつもりで、キロ5分10秒以内で慌てずに
2)ハーフまでは、後半のペースアップに備えて、リラックスし5分2~3秒くらいで楽に淡々と
3)ハーフを過ぎたら徐々にペースを上げていき、30kmを過ぎたらいよいよレース開始!
4)37kmを過ぎて残り5kmは、5kmレースのつもりで4分50秒を切って限界まで上げる!
5)残り2kmは死に物狂いで出し切って3時間30分切り達成!
という算段でした。
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しかし、誤算はハーフ以前に始まっていました。キロ5分ちょっとのペースが、さほど楽に感じられないのです。水戸のあの暑い中で走った時とほぼ同じペースなのに……。今日のコンディションなら全然楽なはずなのに……。疑問符ばかりが頭に浮かびます。
そのうち楽になるはず……と我慢するも、ハーフを過ぎても一向にペースが上がりません。25km過ぎにはどんどんペースダウンし、脚が重いどころか、過去経験のないような心肺の苦しさで足が止まる始末。幸い、少し歩いたら復活できましたが、その後も両もも裏のあちこちでピクピクと痙攣が始まるなど、だましだまし走るしかありませんでした。
こうしてキロ6分台までペースダウンしたままフィニッシュ。タイムは3時間49分40秒。自己ベスト更新はおろか、去年のつくばより10分も遅い結果に終わってしまいました。
原因は何か、それは思いもよらぬものだった!?
何が原因なんだろう。こんな絶好のコンディションなのに……。水戸では暑さの中、しかも結構アップダウンのあるコースで、最低限の自己ベストは出せた。だからこそつくばでは、最悪でも水戸の自己ベストを再び更新する自信はあったのです。
フィニッシュ後、ランナーズ編集部の山本さん(陸上経験者でトレーニングに関する知識も豊富)に結果報告をしたところ、「原因不明で走れなかった時は貧血の場合が多い」とのこと。これまで貧血とは縁がない私としては、この説には懐疑的でしたが、スタートまでの行動を振り返ってみると、「まさか! あれか?」と、思い当たることがありました。
実はレース前日、左腰のあたりに張りが残った状態でした。念のために筋肉をほぐしておこうと、お湯を張って湯船に浸かったのです。レース前の長湯は疲労の原因。そんなことは重々承知です。月刊ランナーズ2024年4月号では、「レース前日&当日に使えるフルマラソン快走の心得×38」として様々なレース前の心得を列挙。その中で大角重人コーチは「長時間の入浴は避けよう」と言っています。「温泉宿や大浴場付きのホテルに宿泊の場合、長湯は汗をかいて体力を消耗するので気を付けてください」これもちゃんと読んでいました。それなのに、やっちゃったんですね、長湯を。
もちろん疲れないように、ぬるめのお湯で半身浴。明日に備えた前日分のモルテンドリンクを飲みながら水分補給もしっかりと。でも、温泉ではない自宅の風呂ですが、久々にお湯を張ったら気持ち良くなってしまったんですね。明日のレース戦略なども考えながら、気付いたら1時間30分以上も経っていたのです。
山本さんにその話をしたら、「直接の原因は長湯による脱水、もしくは筋肉の緩みすぎかもしれませんね。貧血の可能性もありますが、水戸で普通に走れていたことを考えると、軽度なものではないか」とのこと。
なるほど、そうかー! いずれにしても、良かれと思ってやった半身浴が仇となったかー!と、今となっては後悔しかありません。もちろん理由はこれだけではないでしょう。メンタルが弱く、プレッシャーに負けたのかもしれないし、単純にキロ5分で楽に走れる走力ができていなかっただけかもしれません。いずれにしても、選挙落選の弁ではありませんが、「ひとえに私の力不足です」といったところでしょうか。
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長距離走において勝つべき相手とは?
レース後、妻と食事をして車で帰宅途中テレビを見ていたら、「バンキシャ」出演中の山中伸弥教授がつくばマラソンを走ってきたとのこと。しかも、3時間30分を切ったと涼しい顔でおっしゃっている! 前にもここで書きましたが、山中教授は、私が3時間30分切りを目指して、ベンチマークにしているサブ3.5ランナーのお一人。また負けた! (いつも負けてますが……)悔しい! 今回の撃沈で、この上ない悔しさを感じた瞬間でした。
しかし、本当に悔しさを感じるべきは、山中教授に対してではない、そう思い直しました。私の座右の書「走ることについて語るときに僕の語ること」の中で村上春樹さんはこう語っています。
「昨日の自分をわずかにでも乗り越えていくこと、それがより重要なのだ。長距離走において勝つべき相手がいるとすれば、それは過去の自分自身なのだから。」
そう、勝つべき相手は、過去の自分でした。それもほんの4週間ほど前に自己ベストを出した、ここにいる自分なのです。足りなかったのは、いろんな意味でもっともっと自分と向き合うことだったような気がします。
反省点は多々あります。一方で、それこそが伸びしろと、超還暦ですが前向きに捉えています。この連載は今回で最終回となりますが、3時間30分切りに向けての挑戦はまだまだ終われません。皆さま、ありがとうございました! To Be Continued !
岩谷隆志/いわやたかし(62)
フリーランス・ライター兼コピーライター時々デザイナー。メタボ解消目的に40歳を過ぎて走り始め、フルマラソンにチャレンジ。47歳の時の3時間43分20秒をピークに記録は停滞したが、月刊ランナーズのある特集を担当したことをきっかけに還暦過ぎて一念発起。2023年11月のつくばマラソンで14年ぶりに自己ベストを更新(3時間39分34秒)。24年10月の水戸黄門漫遊マラソンで3時間36分43秒に短縮し、現在は3時間30分切りに挑戦中。
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