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RUNNET TRAIL

トレラン・レースリポート

  • 第10回 房総丘陵・養老渓谷トレイル

開催日: 2018年3月11日 (日)
開催地: 千葉県(市原市・君津市・大多喜町)
距離: 石尊山縦走コース(30km)/梅が瀬渓谷コース(14km)
【30km】 完走者554人/出走者580人
【14km】 完走者369人/出走者370人

せせらぎの静寂を彩る梅の花。房総のダイナミックな地層と渓谷を楽しむ!

リポート/嶋津 啓介さん


大会会場は東京駅から電車で約2時間30分、千葉県市原市の小湊鉄道の風情ある無人駅「上総大久保駅」そばの旧白鳥小学校跡地。関東近県から電車で来る参加者が多く、専用車両も増発しました(車だと東京駅からアクアラインで1時間20分ほど)。年々参加者も増え、回を追うごとに盛り上がっている印象の大会です。

非電化・単線でフォトジェニックな小湊鉄道
非電化・単線でフォトジェニックな小湊鉄道

千葉県在住である私にとって、こちらのコースはプライベートでもよく練習しにくる、なじみ深いコース。ここのところ70km以上のロングトレイルの大会出場が続いていたので、「30kmを最後まで歩かずしっかり完走する」を目標にこの日を迎えました。


☆当日の嶋津さんの装備と心がけ
ボトル: ポカリスエット700ml、ジェル: マグオン3個、ファーストエイドキット、ウィンドシェル、
マイカップ、お守り、ゴミ袋 (以上、9リットルのザックにて携帯) 
「どんなに低山でも、山では何が起こるか分からないので、ファーストエイドキットは携帯してます。また、レースでは必ず1個以上はゴミを拾うよう心掛けています」(嶋津さん)


スタート! 整備されたルートでコンディションは上々

「30km石尊山縦走コース」の部は10時にスタート! 前日の雨もあがり、ぬかるみこそ多少あったものの、コースはしっかり整備されていて走りやすいコンディションでした。まずは約5km地点にかけてアップダウンのあるロード(山道、農道)を走り、やがて林道へと入ります。そのころには集団もバラけ、それぞれ自分の走りに集中できる状態に。

年々参加者増! 趣ある旧白鳥小学校から一斉にスタート
年々参加者増! 趣ある旧白鳥小学校から一斉にスタート


この大会のコースの特徴は、大きなアップダウンはないものの、平地もほぼなく、小刻みな起伏が全行程に渡って断続的に続くというもの。じわじわと体力を削られていきます。トレイルは全体の3~4割といったところでしょうか。林道とロードを交互に走り、さらに後半は渓谷沿いや川渡りなど、景色やルートにメリハリがあって飽きないのが魅力です。

まずは舗装路ゾーン。歴史の重みを感じる鉄道の下を通る
まずは舗装路ゾーン。歴史の重みを感じる鉄道の下を通る
林道ゾーン。ふかふかのトレイルを駆け抜ける
林道ゾーン。ふかふかのトレイルを駆け抜ける

12km地点のひとつめのエイドステーションで水分補給。ロードで小倉野の折り返しポイントを目指します。その舗装路から林道に入る前の、抜けのいい眺めは最高でした!


慣れているはずのコースで……まさかのロスト!?

ちょうど折り返した後、15km地点を過ぎたあたりのトレイルで、まさかのハプニングが。付近の20人ほどで、そろってコースをロストしてしまったのです! 「あらら、やっちゃったね!」などと和やかに元のルートに戻ったのですが、ちょうどボリュームゾーンの選手たちの渋滞にはまってしまいました(笑)。


しかしそんなタイムロスも気にならないほど、渓谷沿いと川渡りがメインの後半は、夢中で走れるコースレイアウトなのです。途中で滝なども見えつつ、マイナスイオンたっぷりの渓谷沿いを、野鳥の声が響く静寂を楽しみながら駆け抜けました。

昨年一躍有名になった「チバニアン」の地層(約77万年前に、地球の磁場が最後に逆転した証拠が残る地層)が近くにあるこの地域。むき出しの絶壁となっている山肌は迫力満点! くっきりとしたグラデーションが見られ、ジオパークの様相を呈しています。そのダイナミックな地層を背景にしながら、自生の梅の花が可憐に咲いていたのは印象的でした。走りながら自然と目に飛び込んでくる渓谷沿いのこの風景は、一見の価値ありだと思います。

むきだしの根っこを無心でクリア。上り坂をひた走る!
むきだしの根っこを無心でクリア。上り坂をひた走る!


ド迫力地層あり、滝あり、川越えあり!

川渡りは、川と追いかけっこをするような感覚で7、8回ほど巡ってきます。深いところは足首ほどありますが、基本は浅い部分。最初こそ慎重に石をジャンプしていく選手が多かったのですが、そのうち皆さんジャバジャバ楽しんで駆け抜けていました。

圧倒的な地層の壁に沿って進む
圧倒的な地層の壁に沿って進む
せーの、ジャンプ! 川はたびたび出現
せーの、ジャンプ! 川はたびたび出現

2度目のエイドステーションでは、すでに時刻がお昼過ぎということもあり、ポテトチップスやドラ焼きなどのフードをいただいてパワーチャージ。

エイドには充実のフード
エイドには充実のフード


体調も良く、後半バテることもなく、無事ゴール! タイムは4時間40分、途中ロストこそあったものの、目標どおり楽しく走りきることができました。

ゴール時には天気も快晴!
ゴール時には天気も快晴!
完走を称え合い、仲間とガッツポーズ
完走を称え合い、仲間とガッツポーズ

レース後は恒例「しいたけ汁」のふるまいがお楽しみ。有料の「里山カレー」も美味しいんです。トレイルグッズの当たるじゃんけん大会などのお楽しみもあります。温泉が近い地域なので、近くの温泉(割引で利用できます!)に送迎バスも出ています。


初心者もスピード派も。大自然を思いきり楽しめるレース

都心からアクセスしやすいにもかかわらず、大自然に身を委ねて走る楽しさを味わうことのできる大会。
14kmの部に出たトレイル初参加の友人も、ハイキングみたいだった!と大変楽しめたようでした。
大きな難所もないので、スピードコースとして速さを楽しみたいランナーはもちろん、トレイル初心者にはもってこいの大会だと思います。


嶋津 啓介さん 
  • リポート/嶋津 啓介さん

38歳、会社員。千葉県在住。
高校時代は陸上部の長距離ランナー。長年ランとは遠ざかっていたが、5年前にトレランと出会い、レースデビュー。以来、年4~5回ペースで長距離レースに参加している。
「いつかは100マイル、UTMFを完走するのが目標です」




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