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心拍トレーニング① まずは自分の最大心拍数を知ろう

ハートレートモニターや心拍計測機能つきのランニングウォッチで気軽に心拍数が計測できるようになり、市民ランナーにも身近になった「心拍トレーニング」。少し難しいですが、しっかり概念を理解してからトレーニングに臨む方が、効果も高まります。ここでは、3回に分けて「心拍トレーニング」の基礎知識をご紹介します。
⇒第2回 心拍トレーニング② 心拍ゾーンを活用して練習しよう
⇒第3回 心拍トレーニング③ フルマラソンのレベルアップに繋がるポイント

(監修:東京国際大学駅伝部コーチ 松村拓希さん supported by EPSON WristableGPS

心拍トレーニングとは?・・・心拍の数値を指標としてトレーニングをすること

通常、人の心拍数は1分間におおよそ60拍といわれています。運動するとその運動強度により心拍数は増加します。「心拍トレーニング」とは、心拍数を計測し、その数値を運動強度の指標として行うトレーニングのことです。
これまでは、1kmごとのペースや総距離で練習の強度や内容を把握し、そのときの疲労度や余力感などは、それぞれの「感覚」で推測するしかありませんでした。
一方で「心拍トレーニング」では、今までの「キツい」「ラク」といった感覚を「心拍数」という具体的な数値で表すことができるので、目的を明確にした効率的なトレーニングが可能となるのです。


心拍トレーニングを行う前に …自分の最大心拍数を知ろう

まず、「心拍数は極めて個人差が大きい」ということを理解してください。同じ心拍数でも人によって意味合いが違うので、最初に「最大心拍数」を把握しましょう。
例えば、最大心拍数が180のランナーAさんと160のBさんが、全く同じ心拍数の130で走っていたとすると、Aさんの方が余裕を持って走っている、Bさんの方が 限界に近いレベルで走っている、ということになります。また、Aさんが同じコースをキロ5分で走っていて、以前は心拍数120で走っていたのに、110、105・・という心拍数で走れるようになったら、心肺機能が向上している証拠といえます。

<最大心拍数の推定方法>

最大心拍数を推定する計算式はいろいろありますが、EPSONのWristableGPSでは以下の数式を元に推定しています。

最大心拍数=206.9−(0.67×年齢)


以下のメニューを行うと、ある程度正確に最大心拍数を把握できます(以下のメニューを実施した際の最大心拍数≒あなたの最大心拍数)。かなりきついので、よくウォーミングアップしてから試してみて下さい。

・フルマラソン経験者

①フルマラソンペースより1キロ当たり1~2割速いペースで3分間走る
②1分間休憩 を交互に、①→②→①→②→①と行う。


①のペース設定例)
フルを1キロ4分で走るランナーの場合: キロ3分12秒~3分36秒 
フルを1キロ5分で走るランナーの場合: キロ4分00秒~4分30秒   
フルを1キロ6分で走るランナーの場合: キロ4分48秒~5分24秒
※上記ペースはあくまでも目安です。この範囲内で3本、1キロは走れるけれど2キロ走りきれないペースを走りながら決めていけると良いと思います。

・フルマラソン未経験者

「このペースでは10分間続けて同じペースでは走れない」というだいたいのペースを把握し、そのスピードで2分~3分間走を1分間の休みを挟んで計3回走る。

第2回では、最大心拍数をもとに計算される「心拍ゾーン」を活用した練習方法についてご紹介します。


松村拓希(まつむら・ひろき) 東京国際大学駅伝部コーチ/エデュケーター。
駒沢大学時代は日本インカレ優勝、全日本大学駅伝区間新記録更新を経験。卒業後、日清食品で実業団ランナーとして活躍。世界クロカン日本代表として日の丸も背負う。
選手として現役を引退した後、筑波大学大学院で学び、現在は東京国際大学駅伝コーチとして指導を行う。競技者としてだけではなく、社会で活躍できる自立した人間となるような指導を行っている。
●主な成績 日本インカレ10000m 優勝(2002年)


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