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元オリンピック代表・藤原新が語る
マラソン必勝法

「脂肪をエネルギーに
変えて走る!」

「マラソン30km以降に差をつけるためには脂肪をエネルギーに変えて走ることが不可欠。そのためにMCTオイル(中鎖脂肪酸)を10年以上前からとり続けている」と語るのは2012年ロンドンオリンピック代表、現在は実業団SUZUKIアスリートクラブのコーチを務める藤原新さん(39歳)だ。 (聞き手・東海林美佳)

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profile

藤原新 ふじわら・あらた

長崎県立諫早高校、拓殖大学を経てJR東日本に。2010年に退社し、以後はプロランナーとして活動。2012年の東京マラソンで2時間7分48秒を記録して2位になり同年のロンドンオリンピック出場。これまでにマラソンでは6勝。1981年生まれ

糖と脂肪の
ハイブリッドで走る

─ 藤原さんは早くから脂質に着目してきたそうですね。

「ランナーのエネルギー源といえば糖質(グリコーゲン)が王道ですよね。ただ脂肪もエネルギーとして利用することができる。糖質を体内に多く蓄積させるための食事法として知られているのが「カーボローディング」ですが、体内に貯蔵できる糖質の量には限りがあるので、いくら頑張ってカーボローディングをしたところで、マラソンを走り切るために充分な量の糖質を体内に蓄えることはできない。このことは運動生理学的にも明らかになっています。そこで重要になってくるのが、脂質をエネルギーとして使える身体にすることです。糖と脂肪のハイブリッドで走るという発想です」

─ ご自身でずいぶんリサーチされたそうですね。

「高校時代、陸上競技の専門誌で、ヴィンセント・ルソーというベルギーの選手の記事を読んだのです(1994年ロッテルダムマラソン優勝)。彼はマラソンシーズンになると朝のポイント練習前にパンやパスタといった炭水化物ではなく、脂質の多いチーズを食べる。「糖が枯渇した状態でハードに走ることで脂肪を使える体質に作り上げていくことが狙いだ」と書かれていたのです。これが「食事で脂質をとる」ことを意識したきっかけです。ただ、高脂肪食というのは体重管理や消化吸収という点でランナーには向かない。もっと効率の良いものをと探していた時に出会ったのがMCTオイル(中鎖脂肪酸)でした」

朝に摂取して脂肪燃焼体質を作る

─ MCT(中鎖脂肪酸)のどういった点が良いと思ったのですか?

「身体に吸収されやすく、エネルギーに変換されやすいという点です。2008年福岡国際マラソン当日の朝食はチーズにMCTオイルをかけました。MCTオイルをレース前に摂ることで血中の遊離脂肪酸濃度を高めておき、スタート直後から脂肪を使えるようにするという戦略でした」

─ 実際摂取しての効果はどうでしたか?

「この福岡は2時間9分47秒で3位に入ったので良かった。ゲストランナーとして出場させてもらった2015年の富山マラソンは実験の一環としてカーボローディングをせず、当日はバターコーヒーを1杯だけ飲んでスタートラインにつきました。レース序盤に飛び出した選手に37kmで追いつくとトップに立ち、最後までバテることがありませんでした」

─ レース当日、糖質を全くとらずに走ったのですか?

「これは極端な例ですが、エネルギー切れの感覚が全くなかったのは当時、MCTオイル入りのコーヒーを飲んでから練習することを習慣にしていたことにより、脂肪燃焼型の身体になっていたことが大きいと思っています。ケニアで合宿をしていた頃は、朝一番にハードなポイント練習をやることが多いんですけど、その時もMCTオイル入りコーヒーを朝食にしてました。帰国してすぐに受けた乳酸値テストでは『乳酸が出にくい身体になっている』ことを示す値が出ました。これも脂肪をエネルギーとして使うことができていた証です」

─おすすめのMCTの摂り方を教えてください。

「コーヒーに入れるのがいちばん簡単で美味しいです。コツはしっかり撹拌して乳化させること。僕はカプチーノなどを作るミルクフォーマーを使っています。朝練前とレース当日のスタート3~4時間前に飲むのが日課でした」

MCTオイルをとることは
体重管理にも有効

─ 市民ランナーにとって、〝脂質で走る〟メリットとは?

「脂質というエネルギー源は体内に豊富に蓄積されているので、これを使えるようになったら強いです。脂肪燃焼型の身体にしておくとマラソン後半にバテにくくなるだけでなく、普段の生活でもエネルギーが切れないので激しい空腹がなくなり、ドカ食いもしなくなります。そのため体重管理にも有効です。第一線から退いて1年半。トレーニング量が減って自分が糖質依存型になっている感覚があるので、MCTオイルを摂取しながら走って、脂肪燃焼型の身体をキープし続けたいと思っています」

藤原新さんが活用するMCTオイルとは?

MCTとは中鎖脂肪酸油のこと。ココナッツやパームフルーツなどに含まれる天然成分で、オリーブ油やなたね油、ラードといった通常食事で使われる油(LCT)よりも消化吸収が速く、すぐにエネルギーになりやすいという特長がある。

MCTオイルは、この中鎖脂肪酸100%のオイル。摂取することで体脂肪がエネルギーとして使われ、一般的な油の4~5倍速く分解されるので、栄養補給源として医療現場やスポーツ界で注目されている。

継続摂取により持久力が高まる可能性が

MCTオイルと一般的な油(LCT)をそれぞれ2週間継続で摂取して運動試験を行い比較したところ、MCTオイルの継続摂取によって持久力が高まる可能性が示された。これは、MCTを習慣的に摂取することで、脂質を利用しやすくなる身体に変化した可能性がある。また、疲労度の指標にもなる血中乳酸濃度はMCTオイルを摂取することによって低く抑えられている。

実験結果

中強度運動(息が上がらない程度)

開始から20分後の血中乳酸濃度

MCTオイルと一般的な油(LCT)を含む食品をそれぞれ2週間摂取した後に、息が上がらない程度の持久的運動を実施すると、MCTオイルを摂った方が血中乳酸濃度が低くなった。

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*2群間で有意差あり(p<0.05)
[出典]J Nutr Sci Vitaminol 2009;55:120-125より改変

高強度運動(息が上がるような程度)

疲労困ぱいになるまでの時間

息がゼイハアするような持久的運動では、MCTオイルを摂った方がより長く同運動を継続できた。

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*2群間で有意差あり(p<0.05)
[出典]J Nutr Sci Vitaminol 2009;55:120-125より改変

[資料引用] 日清オイリオ MCTサロン 
https://www.nisshin-mct.com/