戦略的リカバリを実践した 3名の結果は?
Ogawa Kenichi
小川憲一さん(48歳)
「第19回Mt.富士ヒルクライム」 1時間18分12秒
キツいメニューで心肺機能を強化
「2年連続で1時間23分だったので、今年こそは念願のシルバーを獲得したい、そう思っています」と試走会時に話していた小川さん。力を出し切れない、さらには持病のヘルニアもあって、過去2回は思い通りの結果が出せなかったという。 そこで今回は2004年の富士ヒル優勝者、筧五郎コーチの指導、通称「ゴロー練」に参加して、目標達成を目指しトレーニングを続けてきた。 「なかなか練習はキツかったですね。ちょうどやり切れる、限界を超えないくらいの強度のメニューが用意されていました。心拍数170を超えるレースを想定した絶妙な強度と時間設定でした。でもこれをこなせたおかげでメンタル面も強くなったと思いますよ」
自己ベストを5分以上短縮!
トレーニング期間中だけではなく、レース中にも役立ったのが「戦略的リカバリ」の考え方だという。キツいトレーニングの疲労を回復しながら、コンディションが整えられた。「これまでもいろいろなサプリメントは摂っていましたが、国内のものなので安心感がありましたし、キツいメニューも次第に少しだけですが(笑)、余裕をもってこなせるようになったと思います。これまではどうしてもトレーニングをどうするかに偏っていましたが、レース中の栄養補給、水分補給などの考え方も分かり、走っているときの落ち着きにつながったと思います」 タイムは1時間18分と自己ベストを5分短縮。惜しくもシルバーには届かなかったが、新たな目標も生まれた。「本当は今回で富士ヒルは最後にしようかと思っていたんですよ。でも今回、トレーニングとレースを終えて、伸びしろがまだあるような気がしています。またチャレンジするのはツラいんですけど、改めて面白さを感じた大会でした。教員という仕事をしているので、来年はシルバーを獲ってその面白さやトレーニングについて伝えていきたいですね」
Ogasawara Takahiro
小笠原 空宙さん(38歳)
「第19回Mt.富士ヒルクライム」 1時間24分40秒
バーチャルでは物足りず出場を決意
コロナ禍でZWIFTにハマったことがきっかけで、リアルな自転車に乗り始めたという小笠原さん。「ZWIFTの坂道を走っていたのですが、それでは物足りなくなって。試走会の直前に自転車をそろえて参加しました」。初心者ではあるが、身体的なポテンシャルは高い。学生から社会人までアメフトを行っていたこともあり、試走会のときからパワフルな脚力を見せていた。長距離系のスポーツはしたことがないとはいうがヒルクライムの場合、フルマラソンなどと比べても競技時間が短い。試走時には「脚がもつか不安だった」という小笠原さんだったが、パワーで押し切り1時間40分ほどで走ってしまった。また、座学では「休息」「運動」「栄養」の考え方についてもしっかり学び、コンディショニングや補給の知識も手に入れた。本番の目標は「初出場でブロンズ」に設定し、レース当日を迎えた。
初出場で見事ブロンズ達成!
結果は1時間24分で見事にブロンズを獲得し、持ち前のパワーを見せつける形になった。「試走の時には、序盤に少し抑え過ぎた感じがあったので、今日は初めから追い込み気味で入りました」。実際にレース時の心拍数を振り返ると、序盤の1合目からすでに160近くの心拍数を記録。一般的なサイクリストのパターンでは、前半に突っ込みすぎるとその後、ペースダウンするものだがそのまま押し切った。高い心拍数に対してのポテンシャルに加えて、「戦略的リカバリ」を意識した1カ月間の効果が出たのかもしれない。「試走時に比べて、息が切れる感じは全くなかった」という。 パワープロダクションの製品は使ったことがなかったというが、細かく目的別に設定してあること、自分に必要なものを選んで使えるところが気に入っているという。「トレーニングの成果で、ウエイトコントロールにも成功しました 。 でも、サイクリストというにはまだ体重が重いので(笑)、体重を減らすともしかしたらシルバーまで手が届くかもしれないですね」
Yuasa Yasushi
湯浅泰司さん(57歳)
「第19回Mt.富士ヒルクライム」 2時間10分02秒
カラダ作りの土台となる知識を獲得
普段はスイム、バイク、ランの3種目をこなすトライアスロンを楽しんでいる湯浅さん。今回の富士ヒルはバイク種目強化のために出場を決めたという。「3つの種目をひとまとめにトレーニングするよりも『1種目ずつ強化していくといい』というアドバイスを受けて、自分としてはかなりツラいレースを選びました(笑)」。試走会では特にカラダ作りの土台になる「栄養」、「運動」中に摂取するサプリメントについての知識など、あらゆるレースで使える確信を得ることができたという。
年齢的な部分を戦略的リカバリで補う
試走会のタイムから「まずは2時間切り」を目標にスタートラインに立った湯浅さん。1カ月前からサプリメントも摂取しながらコンディションを整えていたとう。「上りを走る練習でも呼吸に余裕が出て、得意ではない上りでめげない感じにはなりましたね。気持ちにゆとりが出たとは思います」。初挑戦の富士ヒルのため、今回のタイムが今後の基準になる。「レースのための練習として出場した大会でしたが、『戦略的リカバリ』の考え方など、参考になることは多かったですね」 57歳という年齢から「年々体力的なものは衰えていく」という湯浅さん。衰えていく部分を戦略的リカバリで補うことで、記録がキープできるような印象があった。「効果的なトレーニングをいくら積んでも維持するのは難しいと思います。それに加えて、食べ物やサプリメントなど、休養、運動、栄養にそれぞれ対応したものを摂取する必要がありますね。しかもこの年齢だとあまり無理はしたくないので、厳しいレースの途中ではおいしいものを摂りたい。その点でレースはおいしく走らせていただきました!」