「一生懸命練習したのだから
きっとやれる」私は直前まで
音楽を聴いて決意した

「私にとってウルトラマラソンは仲間と一緒に挑戦する旅のようなもの。仲間とは、その大会に出場しているランナーたちのことです。ほとんどが名前も知らない方ですが、同じペースで走っている間に自然と仲間意識が芽生えてきます。一人で走るけど一人じゃないという感じです」

　辻麻結子さん（26歳）はウルトラマラソンを中心に走っている。昨年は4つのウルトラマラソンに出場し、6月のサロマ湖100kmでは自己ベストを更新した（9時間20分43秒）。

「ウルトラマラソンは目標に向けて一緒に頑張ろうという気持ちで走れるのが好きです。ベストを出した昨年のサロマ湖100kmも、スタート直後から最後までほぼ一緒に走ったランナーがいました。ワッカを過ぎて98kmくらいで、自己ベストを確信した時、涙が止まらなくなりました。2カ月練習できなくてきつかったのですが、そのランナーが励ましてくれました」

　フルマラソンにも8回出場。北九州マラソンでは3時間3分31秒の自己ベストを記録した。
　月間走行距離は300～350km。週5～6日走り、ポイント練習として週に1～2回スピード練習や距離走を行う。ウルトラマラソンの大会が近くなると、レースペースよりもゆっくりとしたペースで60km走や6時間走を行い、体調の変化を確認するという。

　「とにかく長く走るのが好き」という辻さん。長距離を踏む時は、いつもVistaをつけて走る。
「つけている感じが全くせず、イヤホンの重さがストレスに感じるということはありません。フィット感も良くて今まで外れたことは一度もないです。ポケットにも入るし、レース前も荷物を預けるまで使っています」

　レース前に聞く音楽は決まっている。ロックバンド・ワンオクロックの「キミシダイ列車」だ。
「『一生懸命練習したのだからきっとやれる』と気持ちを高めるために聞いています。羽生結弦さんも演技直前まで聞いているとか。でも、羽生さんが聞いていると知る前から聞いていますよ（笑）」