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ランニング初心者集まれ

メディカルチェックを受けてみよう

ランニング大会の参加者がレース中やゴール後に急死したという報道を時に見聞きします。生前に病気がなく、一般の健康診断でも異常がなかったにもかかわらず、スポーツによって突然死したとなると、これから走り始めようという方は不安をお持ちになるかもしれません。このようなことを起こさないようにするためには走るという運動を念頭においた検診「メディカルチェック」が望まれます。その際に重点を置くのは心臓血管系の検査です。なぜならスポーツによる突然死の80~90%は心臓血管系の障害で、なかでも中高年においては冠状動脈の狭窄が原因で起きる心筋梗塞や不整脈がその80%を占めるからです。

40歳以上になると遺伝的な要素に加えて肥満、喫煙、飲酒、過食、疲労の蓄積などから糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病が発生し、動脈硬化が進行して冠状動脈の狭窄がおこるようになります。狭窄があると心筋自体が酸素不足となり、心指数が増えたときに狭心症や不整脈が出ます。すなわち、締め付けられるような胸の痛みや圧迫感、冷汗、動悸を感じる、脈が飛ぶ、息苦しくなる、などです。しかし多くの場合、安静時にはこのような症状がなく、心電図や超音波でも全く異常を認めないことが多いのです。そこで走っても大丈夫かどうかを判断するには心臓血管系の画像診断や実際に走りながら心電図をとるような検査を行う必要があります。

以下に当クリニックが行っているチェックの手順をお話しします。

まず、病気の既往歴や家族歴、自覚症状の有無などを問診し、視診、聴診、触診などの診察をします。循環器系以外の疾患も見逃せないので血液検査と尿検査も行います。次に心臓超音波検査で心臓の形態的異常がないかを見ます。そして主役はトレッドミル運動負荷テスト、あるいは自転車エルゴメーターなどの運動負荷テストです。場合によってはホルター心電図(心電図をつけたまま帰宅してもらい24時間連続記録する検査)の間に実際に走ってもらうこともあります。さらに呼吸器系の病気が疑われる人には呼吸機能検査も行うことがあります。このようにしてできる限り現実に近い状況の下で異常が出ないかどうかを調べます。以上の循環器検査は痛い思いをしない検査なので非侵襲的検査といいますが、メディカルチェックでは、ほとんどの場合、非侵襲的検査の範囲内で行われます。

中高年で自覚症状のある方はもちろんですが、家族や親類に心臓血管系の病気、あるいは生活習慣病を持っている方はぜひ受けておかれるべきでしょう。費用は自由診療ですし、検診内容によってかなり幅ができますので、事前に受診される施設にお問い合わせください。かかるべき病院や診療所にはこのような設備や検査機器を持っているところを選択する必要がありますが、できれば走ることに理解のある医師やスタッフがいれば心強いと思います。

最後になりましたがメディカルチェックで異常がなかったとしても、数年ぶりで走るような人は、若いころより筋力が低下して体脂肪率が上昇していますし自律神経反射も鈍っていますので、急に張り切ると気分が悪くなったり筋肉痛でダウンということになりかねません。まずは目標に向けてのトレーニング計画を立て、トレーニング日誌をつけながらじっくりと積み上げていくことが大切です。

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