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RUNNET TRAIL SPECIAL

~ トレイルレースの選び方、走り方をわかりやすく解説 ~

トレランデビューはレースが1番!



トレイルランを始めたいけど1人で山へ行くのは不安。
そんな人は距離の短いレースからまずは始めてみましょう。
地元の人たちや大会スタッフが見守る中、
多くのランナーと一緒に、山を走る気持ち良さを味わってみませんか?

指導/渡邊千春
第1回斑尾高原トレイルレースランニング優勝など、国内のトレイルレースで常に上位に食い込む実力派ランナー。フルマラソンでも2時間39分の記録を持つ。

最初は1人で山へ行くより安全なレースに出場しよう

 この春からトレイルランを始めたいと思っている人は、まずは距離の短いレースに出てみましょう。慣れない山を1人で走るよりは、案内板があり、多くのスタッフやランナーが側にいるレースのほうが安全性は高いと言えます。

 しかしある程度の安全面が確保されているとはいえ、トレイルレースとロードレースは大きく違います。私も初めてのトレイルレースでは散々な目に遭いました。当時サブスリー程度の走力はあり、フルマラソンとほぼ同じ距離の北丹沢12時間山岳耐久レース(当時約43km)に臨みました。当日は雨が降っていて、私がはいていたのはロード用のシューズ。滑って何度も転倒するし、メッシュの生地からは雨が浸みてきて気持ち悪いしで、途中で心が折れて棄権してしまいました。ギアも心構えでも準備が足りませんでした。

 トレイルレースに出るなら、例え何度フルマラソンを完走していようと、しっかりとした準備をして臨みましょう。

 ではどのようなレースに出ればいいのか?走力にもよりますが、次に挙げる条件を満たすようなレースであれば、初心者でもそれほど問題なく走りきれるでしょう。


(1)距離は25km以下
 アップダウンが厳しいトレイルは、ロードと同じ距離でもそのダメージははるかに大きい。フルマラソンより長い距離のレースを完走したことがないなら、まずはこのくらいの長さから始めるのが良いでしょう。

(2)累計高低差が2,000m以下
 累計高低差とは、レース内にある上り坂の高さを合計した数値になります。この数値が大きいほど上りがきつくなります。また上りがきついコースは下りもきつくなりがちです。

(3)最高地点が2,000m以下
 高度が2,000mを超えると高山病の危険性が出てきます。ただし日本のレースではそれほど数は多くありません。

(4)夏のレースなら、10 kmに1つはエイドがある
 トレイルランで一番避けたいのは、水が切れること。トレイルレースはエイドの数も間隔もまちまちなので、必ず事前に確認しておきましょう。

大勢で楽しくゴールをめざす、レースでのトレランデビューがおすすめ!

水は1.5リットル以上補給は30分に1回を想定

 ロードレースとの大きな違いは、物を持って走ることです。その中でも特に重要なのが水と補給食。トレイルではロードよりも走行時間が長く、なおかつエイドの数が少ないレースもたくさんあります。補給が不十分だと、パフォーマンスの低下はもちろん、走行不能に陥ってしまう危険性も出てきます。

 水は1.5L以上持って行きましょう。容器はハイドレーションパック(2Lが多い)とボトルがありますが、ボトルだと転倒して壊したり、こぼしたりすることが考えられます。バックパックから取り出す手間を省くうえでも、ハイドレーションパックをおすすめします。中身をスポーツドリンクにしてもかまいませんが、その際は水も併せて持って行きましょう。レース中はのどが渇いてから飲むのではなく、その前から細かく給水していくのが鉄則です。

 補給食は燃えやすい糖と、時間をかけて燃える糖の2種類を持って行きましょう。前者は市販のエネルギージェルなどで、すぐエネルギーとして使われる代わりに、効果は長続きしません。後者はおにぎりやパンなどが挙げられ、使われるまでに時間はかかりますが、ある程度効果も長続きします。

 補給のタイミングは、30分にエネルギージェル1つくらいが目安。お腹が減ってからとるのではなく、時間を決めて、定期的にとっておくと良いでしょう。そしてレース中盤には、後半に備えて燃える糖を摂取します。

 仮に走行時間を5時間と予想します。最初の90分はレース前の食事がエネルギーに、ラスト30分はレース後にとればいいので、残りは3時間分。中盤に「時間をかけて燃える糖」のおにぎりを食べて、これが1時間分のエネルギーだとして、2時間分4個のエネルギージェルが必要になります。

 ジェルは食べ慣れないと、すぐ飽きてしまいます。補給する気持ちを切らさないためにも、ここでは、食べやすいモノや、自分の好きな食べ物を用意しておくと良いでしょう。ただし口の中が乾いてしまう物や、ノンカロリー食品は避けるようにしましょう。

厳しい上りは歩くエイドではしっかり休む

 トレイルはアップダウンが激しいため、ロードのように一定ペースで押し切る走り方はできません。しかし身体の負荷を一定に保つ、ということは変わらないので、心拍計を使っているランナーなら、フルマラソンの心拍数より上がらない程度にスピードをコントロールしながら走ると良いでしょう。

 心拍計を持っていないランナーは、まずはレースの高低図を見ましょう。きつい上りが続く箇所は無理せず必ず歩き、ある程度アップダウンの少ないところで走ってタイムを稼ぐようなプランニングを事前にしておきましょう。またエイドもロードのように走りながら通過してしまうのではなく、必ず止まって、しっかり補給しておくことです。焦ってとばそうとせず、常に余裕を持ちながらレースを進めることが重要なのです。

ありがたさを痛感するエイドステーション

ありがたさを痛感するエイドステーション。それでも、もちろん自分の水と補給食を十分に持っていくのが鉄則

写真/小野口健太