リレーエッセー 達人たちのトレランコース
毎月トレイルの達人たちがリレーで、独自のトレーニング法や、練習中のエピソードをまじえ、大好きなトレーニングコース(トレイル)を紹介してくれるコーナーです。
望月将悟さん

「静岡県 賤機山(しずはたやま)~鯨ケ池コース」

市街地から徒歩20分というアクセス。終始走れる貴重なトレイル

今月のナビゲーター: 望月将悟/トレイルランナー

静岡県 賤機山(しずはたやま)~鯨ケ池コース

 静岡県の中央に位置する静岡市。北は3000m級の山々を抱える南アルプスまで続いている山岳地帯なので、ハイレベルなトレイルコースはいくらでも設定できる。が、ここではあえて、市街地から徒歩20分程度でスタート地点まで行ける、ビギナーでも気軽に入っていけるコース、賤機山(しずはたやま)~鯨ケ池(くじらがいけ)のトレイルを紹介しよう。

 賤機山へのルートは、いろいろあるが、古くより信仰を集めている静岡浅間神社の中の、百段の階段からスタートするコースを紹介したい。ルートがいくつもあるということは、登山口も、下山口も多いということで、迷ってしまいそうだが、どのコースでも、10分もあれば主要道路に出られるため、初心者でも道に迷ったり、疲れてしまったときの不測の事態など、あまり気にせず気軽に入れる。中でも、浅間神社からのコースは、静岡市内からは最も近いうえ、最も登りやすくてお勧めだ。

 百段の階段を上り、浅間神社の参道を進むこと5分程度で、ちょっとした広場に出る。4回ほど坂を上って、上りきったところが平坦になっていて、ベンチがいくつか置かれているのだが、ここは、観音像広場と呼ばれていて、散歩登山してきた人などが休憩するポイントだ。ここからは、静岡市街が見渡せ、春になると桜並木がとても美しい。ここを素通りして、どんどん走っていくのもいいのだが、ときにはここをひとつの目安として、スタートから何回か往復するのもいい刺激練習になる。

 観音像広場から先は、北側に小道が続いていて、ここからは木の根が出たり、でこぼこ道になり、小刻みな上り下りのシングルトラックに入って、グンと人も少なくなる。尾根からの景色は、静岡の町並みや、富士山や駿河湾が広がる。この素晴らしい見晴らしは、疲れたときの気分転換にはもってこいだ。

 途中トレイルは農道で何回か途切れるけれど、再びトレイルに入るのでご安心を。茶畑や、みかん畑の真ん中にコースがあるため、その中を走り抜けていく。言うなれば、静岡県の特産品のオンパレードの中をひた走ることになる。
 上ったり下ったり、右に左にと向きを変え、ダラダラとしたコースを進んでいく。決して急ではないので、ビギナーでもほとんど走ることができるだろう。こうして50分ほど進むと、神社が現れる。ここまでくれば、あとはほぼ下りとなり、15分程度で、ゴール地点の鯨ヶ池という池に到着する。ちなみに、ここまでのコース中、舗装されているところは100m程度だ。

 ゴールの鯨ヶ池からは、バスも出ているし、そのままロードを8kmくらい走ってスタートの浅間神社へ帰るのもよし、物足りなければ、走ってきたコースの往復を勧めたい。僕の場合で、往復ともに60分程度の、ほどよいコースとなっている。

 このコースの特徴は、なんといっても市街地から手軽に入れること。そして、それほどきついコースでないために、豪快に走れる点だろう。標高は、たぶんこのコーナーで紹介している中では最も低いほうだと思うが、急な登坂が多い日本の山の中では、快適に走り抜けることができ、トレランでのスピードを磨くには貴重なコースといえるだろう。走ったり立ち止まったりを繰り返すコースでは、タイムをとってもあまり参考にできないが、終始走れるこういうコースこそ、要所要所でラップをとって、調子の確認をしたり、自分の練習成果を測定するのに使ってみてはどうだろう。ロード練習の気分転換にも打ってつけだ。

 ただ、あえて言うならば、低山であるがゆえに、草が伸び放題になっているところがあったり、クモの巣に引っかかるなどということもある。これからの季節はハイキングする人が出てくるのでその心配は少なくなるけれど、植林地や草の間を通るときなどは蒸し暑さが増す。木陰もあるので、街中のような暑さとは比べものにならないが、コース上には水場はないので、水は必ず用意していってほしい。

静岡県 賤機山(しずはたやま)~鯨ケ池コース

望月将悟さんのトレーニングコースは、LatLongLab「猛レース」で見ることができます。このコースを走ったことのある人は、自分のタイムを登録して、ネット上で望月さんとバーチャルランを楽しめます。実際に走ってみたら、ぜひ登録してみてください。

地図提供:LatLongLab

望月将悟さん望月将悟/トレイルランナー

1977年生まれ。静岡市消防局で消防士・山岳警備隊員を兼務。高校卒業後に入った消防局で山岳競技に出会い、国体に出場。2006年北丹沢12時間山岳耐久レースで優勝、2008年日本山岳耐久レース(ハセツネ)5位、2009年OSJ新城大会と奥久慈大会で優勝など、その活躍で注目を集めるトレイルランナー。「特に勝敗にはこだわらず、自然に勝負を挑み、各地の山の大きさを知るのが楽しみです」。

前の記事 リレーエッセー一覧 次の記事

次回のナビゲーター:2008年は赤城山のロング、志賀野反15km、おんたけスカイレースなどに優勝。そして今年は赤城山で2連覇を達成。さい先のいいスタートを切りますます活躍が期待される松本大さんです。望月将悟さんからのご紹介です。