本サイトではより多くの方に快適に利用して頂ける様に、アクセシビリティ面を充分に考慮したコンテンツの提供を心がけております。その一環として、閲覧対象コンテンツのすべてにスタイルシートを使用して制作しております。現在閲覧に使用されているブラウザには、当方制作のスタイルシートが適用されておりませんので表示結果が異なりますが、情報そのものをご利用するにあたっては問題はございません。

RUNNET TRAIL コラム

トレラン・レースリポート

  • 5回上野原秋山トレイルレース

開催日:2016年12月4日(日)
開催地:山梨県上野原市秋山
距離:20km
完走者/主走者:290人/291人(完走率99.6%)

変化に富んだ緩急のあるコースが魅力
地図にのっていない里山の秘境が舞台

リポート/岡本 直也さん

山梨県中部の最東端、上野原市。
この地で開催される「第5回上野原秋山トレイルレース」に参加した。
参加のきっかけは、私の友人でありコースディレクターの奥山賢治さんとコースアドバイザーの代田渉さん。
2013年に中止となり、以降開催されていなかった上野原トレイルレースが、彼らと有志の方々の力で2015年、上野原秋山トレイルレースとして復活。(2015年は故障により出場できず...)
コースは、登山用地図に載っていない里山の秘境。丹沢周辺の地を知る彼らに「秘境」と言わしめるトレイルとはいったいどんなところだろう...ふたりが作った秘密基地に招かれたような期待を抱いて現地に入った。

美しい紅葉の温泉地が会場

朝6時半頃、車で会場の秋山温泉に到着。
ぐるっと見回すと一面紅葉で、どこからでもトレイルにアクセスできそうな好立地。
そしてゴール後にすぐ温泉に入れるというのもありがたい。
受付時間は6時半から8時半なので、まだ人もまばら。私は早々に受付を済ませ、車中でくつろぎながら着替えやパッキングを始めた。

当日の最高気温予想は16℃。12月とは思えない暖かさ。トレイルも標高1,000m以下なので、気温は下界とさほど変わらずレース中は暑さを感じるだろう。
水分と塩分が切れてしまうと行動不能に陥ってしまう。そうないためにも、いつも私は多少余るくらい持って行く。

コースを変えて装いも新たに昨年2015年から復活したこの大会、開会式もアットホームなよさがうかがえる

コースを変えて装いも新たに昨年2015年から復活したこの大会、開会式もアットホームなよさがうかがえる

ランナーのいでたちは様々。必要となる携帯品をバックパックやウエストバックに携えて出場。何をどう持つかも作戦のうち

ランナーのいでたちは様々。必要となる携帯品をバックパックやウエストバックに携えて出場。何をどう持つかも作戦のうち

<岡本さんが携帯したモノ>
今回使用したパックはinox furiosa (7リットル)。その中にドリンク500mlと「低GIのアップルハニー」、ミネラル塩、アミノ酸、フーディニジャケット、ファーストエイドキットを詰めた。
ファーストエイドキットの中身は、絆創膏、消毒液、テーピング(1m程度)、下痢止め。これらをジップロックに詰めてかさばらないようにして携帯。
「コースによっては、このほかにエマージェンシーシート、ポイズンリムーバーを持っていくこともあります。山では、自分で自分の身を守るセルフレスキューが基本。ロードレースの延長で考えず、準備しておくことが大事です」(岡本さん)


いざ、秘境へスタート!

コースマップはこちら

9時、乾いたピストル音が鳴る。
ランナーたちが弾けるようにスタートゲートの坂を駆け上がっていく。坂を上りきると約2kmのロードの緩い上り。スポルティバのウェアをまとったランナーたちが先頭を引っ張る。

さすがの走力。キロ4分あたりで追いかけても、徐々に先頭集団から離されていく。ロードが終わる2km地点、先頭集団から少し遅れた10位前後につけていた。

安寺沢給水ポイント(2.5km地点)到着。ようやく楽しみにしていたトレイルへ。
するといきなり沢が出現、さっそく秘境か。沢を縫うように、人の肩幅ほどの一筋の道が上に延びている。

トレイルは、多少ぬかるんで滑りやすくなっていたが、シューズがグリップしてくれた。
これからどんなトレイルが待っているか。期待が膨らみ思わず声を上げた。

綱子峠への約1kmは200mの上り。斜度20%。100kmや100マイルレースなら歩くところだけど、ショートなら心拍数を上げて進めのサイン。体勢を前傾させ、骨盤の回転を意識してクルクル駆け登っていく。前方のランナーの背中が次第に大きくなる。

綱子峠に到着すると尾根に出た。ここからはアップダウンの繰り返し。下りは苦手。下りの勢いに脚の回転がついていけないのか、ドタバタとステップが重苦しい。
年々酷くなるのは身体の固さか歳のせいか……。前のランナーに下りで離され上りで追いつく、そんな展開。

20kmのレースに291人が参加
20kmのレースに291人が参加
スタート直後は少々渋滞するが…
スタート直後は少々渋滞するが…
沢を縫うように進んでいく
沢を縫うように進んでいく

紅葉の向こうに雪化粧の富士山が!

入道丸、ムギチョロを進むうちに落ち葉が深まっていく。落ち葉が「ザクザクッ」と刻まれる音が耳に心地良い。
フカフカの走れるトレイル、まさに大会HPにあった表現どおりの光景だ。

中間地点の厳道峠手前は、急斜面の下り。コースにはロープが張ってある。ダウンヒラーなら駆け下りるのだろうが、怖くて無理。ロープをつたいながら慎重に下りていく。かと言って後傾になると余計に滑るので、斜面に対して垂直の姿勢を意識する。

厳道峠のエイドステーション(9.7km地点)到着。水も食糧もパックに十分残っているので、何も貰わず通過する。気温が高く汗も多いため、水分と塩分は20分間隔で少しずつ補給している。
鳥井立分岐(10.5km地点)までの上りは、天を仰ぐほどのコース最大の急登。ひざに手を当てて身体を持ち上げる。突如、左の山並みから雪化粧の富士山が現れる。近隣の紅葉する大室山、そして奥に聳える白い富士山のコントラストが目に焼き付く。
思わず前のランナーに「キレイですね~!」と声を掛ける。

気持ちのよいふかふかの落葉の道をいく
気持ちのよいふかふかの落葉の道をいく

自然の美しさを共感すること。それは、トレイルランニングの楽しみのひとつだ。
手元の時計ではまだ8kmだったが、標識では10km。

厳道峠のエイドステーションでしばしくつろぐランナーたち

厳道峠のエイドステーションで
しばしくつろぐランナーたち

富士山がきれいに見えた!手前の紅葉とのコントラストが美しい

富士山がきれいに見えた!
手前の紅葉とのコントラストが美しい

落ち葉の降り積もった路面は注意も必要

大タギレに到着してからはノコギリのようなアップダウンを繰り返して下り基調となる。
ビギナーからベテランまで楽しめる上野原秋山トレイル、里山の緩急効いたこのコースは確かに懐が深いかもしれない。

落ち葉の降り積もった路面は、衝撃が和らぐものの、下に隠れた根っこなどの凹凸が見えない。そのため脚が上がらなくなってくると不意につまずく人もいるだろう。だから脚力だけに頼らず、骨盤をうまく回して脚を上げるような身体の使い方も必要になってくると思った。トレイルの楽しさだけでなく、バリエーション豊富な路面に合わせた走り方を学べるという点においても、この秋山は最適だろう。

阿夫利山からの終盤はつづら折り区間。標高が一気に下がり、短い旅の終わりが近づく。ラスト1km、ロードに出るとのどかな田園風景が目前に広がる。規則的に並んだ棚田が目に止まる。前後のランナーは目視できないものの、ラストスパートをかけた。

総合7位、40代1位。入賞まであと一歩。
ゴールすると温かい拍手とともに、地元食材が詰まった豚汁=秋山汁が振る舞われた。

レースを終えて、秋山汁で腹を満たした後は温泉へ。広々した湯船で脚を伸ばし、秋山の景色を振り返る。
風呂からあがると、お土産に地元の野菜を物色。地元で採れただいこん、白菜、米、芋、漬け物などがお手頃価格で販売されていた。
おばちゃんの話に聞き入ること十数分。特に気に入ったのは、八頭の茎を乾燥させた「ずいき」。水で戻して灰汁抜きをして食すらしい。
秋山汁にも入っていて、食感は「食べ応えのあるお麩」と言うか、なんとも不思議な食感だった。
そんな感じで、紅葉の上野原秋山トレイルで観る・走る・食べるを満喫する事ができた。
今度は春か夏に訪れてみたい。トレイルも野菜もまた違った楽しみがありそうだ。

葉を落とした広葉樹林の道は明るく気持ちがいい
葉を落とした広葉樹林の道は明るく気持ちがいい
岡本さんのゴール! 40代1位、総合7位。入賞まであと一歩
岡本さんのゴール! 
40代1位、総合7位。入賞まであと一歩

岡本 直也さん

神奈川県在住。会社員。ランニング歴18年、トレラン歴18年。
取引先の方から勧められた日本山岳耐久レース(ハセツネ)に参加して以来、トレイルランニングの世界に没頭。
さらにUTMF、おんたけ、八ヶ岳など100マイルレースを経験し、昼夜走り続けるウルトラの世界にのめり込む。
目標は、アメリカの100マイルレースを走ること。