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RUNNET TRAIL コラム

走る鍼灸師のトレラン指南 トレランを安全に楽しむコツ!


緑が美しい季節になるたび「今年こそ山を走ってみたい!」と考えるランナーも多いはず。
そこで安全にトレランデビューするためのノウハウを、ロードもトレイルもバリバリ走る鍼灸師・吉川直人さんに聞きました!

吉川 直人

指導/吉川 直人(よしかわなおと)


教員を経て青梅に緑風堂鍼灸院を開業。マラソンやトレイルラン、トライアスロンを実践する「痛みを知る」鍼灸師。フル自己ベストは2時間57分。
緑風堂鍼灸院HP: http://ryokuhudo.petit.cc/

  • 第1回:
  • トレランは長距離を長時間、楽しく走れる! さらに筋肉にも嬉しい効果が

トレランを始めると走る楽しみが増える

 東京都青梅市で生まれ育った私にとって、山を走り回るのはごく自然なこと。ロードを走るのと何ら変わらない感覚でした。マラソンのトレーニングとしてクロスカントリーなる領域のトレーニングを知り、「クロカン」がやがて「トレイルランニング」として新しく章立てされた。そんなイメージです。
 ロードランニングとトレイルランを区別したり、垣根を作ったりする人もいますが、私は本来「垣根など一切存在しない」と考えています。それはつまり、日頃からロードで鍛えている人はトレイルでもしっかり走ることができるからです。ただし、トレイルへの興味を持ちながら、なかなかチャレンジできない人の中には、下りへの苦手意識がある人もいるでしょう。
確かにトレイルレースではスピードが要求されますが、普段の「楽しむ」トレイルではマイペースでゆっくり下ればいい。スピードは二の次です。
 走ることに魅せられた人ならば、トレイルも楽しめる。走る楽しさのバリエーションをひとつでも多く持っていることが、長く、楽しく続ける秘訣。トレイルランはアナタのランニングライフに大きな足跡を残してくれるはずです。

「筋トレ効果」に加えて「筋ほぐし効果」がある!

 不整地を走るトレイルランではよく筋トレ効果が期待されます。筋トレ効果はもちろんですが、私の場合は、「筋ほぐし効果」があると考えています。実際、どうしても治療では取りきれないコリや痛みが、トレイルを走ること(特に下りを活用すること)でほぐれてしまう事例が多々ありました。これは、マッサージなどではほぐし難い大小さまざまな筋肉が総動員されることによって、継続的な緩い負荷が様々な箇所にマッサージ効果をもたらしているためと考えられます。
 その他、トレイルランの魅力といえば癒し。緑豊かな大自然はもちろんですが、リスやタヌキ、イノシシや鹿などの動物と遭遇しようものならポイントは高いですね。青梅丘陵を走っていると稀に「クロスケ」と呼ばれる人なつこいカモシカに出会うことがあります。このように野生に還ってリフレッシュする時間は日々の暮らしの中で貴重なものとなるでしょう。

トレランのスーパーマジック! ラクに長時間、長距離をこなせる

 休日にロードで120分ジョグを行うと「今日は練習した」という気持ちになると思います。しかし、これがトレイルでは少し物足りない。トレイルでは、この3~4倍の時間の練習を「楽しく」こなせてしまうんです。私はこれを、トレイルランの「スーパーマジック効果」と呼んでいます。ロードと比較すると脚への負担の少なさも挙げられます。私は脛やひざの故障で20kmも走れなかったときに、瑞垣山荘~奥秩父連山縦走~鴨沢を走った経験があります。これに関しては、ハセツネ(71.5km)完走で脚に掛かる負担が、フルマラソン完走とほぼ同等という鹿屋体育大学の研究発表もあります。トレイルランは脚にも心にも優しいランニングの楽しみ方なのです。


※2012年月刊ランナーズ5月号別冊付録『レースから始めるトレイルラン』(2012年3月22日)掲載の記事を転載しています。
写真/青山義幸